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山中 伸枝
山中 伸枝
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閲覧数順 2016年12月03日更新

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高金利債券の購入の注意点

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資産運用の原則 外貨建て商品について
高金利国の通貨建て債券購入の際の注意点

現在各証券会社で高金利をうたった債券が販売されていますが、これらの商品を購入いたしますと、為替の変化が無い場合でも、「思っている」よりも、利益が上がらないケースがあります。それは何故?なのかを考えて見ました。

例えば、国際金融公社(IFC)の債券には複数の新興国通貨建てものがあります。それらは、クーポンが税引き前で9.94%、10.00%等で販売されており、償還までの日数も2年や3年と短いため、現在の為替レベルが継続するかも知れないものと思われる債券となっています。

では、これらを購入した際の、実際に投資した額に対する利回りを考えて見ましょう。
クーポン9.94%、2年後の償還のもので試算します。
一見、為替変動が無ければ、2年で20%近くの利息が儲かるように見えます。利子には20%の税金が掛かりますが、それでも税引き後で約16%の利益が上がるのではと思います。残念ながら、そのようには参りません。

購入するには販売している証券会社にて、当該国の通貨での申し込みになります。
この証券会社の案内では、当該債券の買付単は10,000R(仮に通貨表示をRと致します)と表示されています。当該通貨為替レートは5月25日現在で11.3882円、為替スプレッドは±30銭と表示されています。

計算がしやすいように、為替レートを11.40円と置き、購入時も償還時も為替レートは変わらなかったと致しますと、最小購入単位での買い付けには、日本円で

(11.40円+0.3円)×10,000R=117,000円 これが投資金額です。

初年度には利子が10,000R×9.94%=994R付きます。これを円に換えると、

994R×(11.4円―0.3円)×0.8(税金)=8,827円を得ます。

翌年の利子も同じく8,827円を得ます。

そして、償還に当って、円に戻さなければなりません。

この場合には10,000R×(11.40円―0.3円)=111,000円が戻ります。

これらを通算した、円での投資額に対する年間の利回りは、
(111,000円+8,827円+8,827円―117,000円)÷2年÷117,000円×100≒約5%
です。

当初見込んだ利回りの約半分です。

今回試算した例では、ネット証券で且つFXも行っている会社でしたから、為替スプレッドは大手証券会社の約半分です(この証券会社の米ドルのスプレッドは±25銭)。

それでも、これだけの違いが出ます。如何に為替スプレッドが我々一般投資家に不利に働くかがわかります。

前述のように、為替レートの変動が無い場合でも、表示した利回りは得られないことがわかりました。

次に金利差による為替レートについて考えて見ましょう。

前出の商品で、例えば、償還時に2.0円 円高に進んだとします。
この場合には、償還時の円レートは、8.40円にますので、手元に入る金額は、
10,000R×(9.40―0.3円)=91,000円ですから
(91,000円+8,827円+8,827円―117,000円)÷2÷117,000円×100=-3.6%
という、損失になります。
では、為替は円安になるのか? です。

高金利国の金利と債券の額面(償還時の金額)は、その国の通貨での表示です。購入の際にも、換金の際にも円との換金が必要です。

従いまして、償還時に円高の場合は、円での受取額は投資額より少なく、円安になった場合は円での受け取り額が増えます。

為替は何によって決まるのでしょうか、夫々の通貨の高安は長期間で見れば、原則、消費者物価指数(≒インフレ率)や購買力平価によって変化するものとされています。高金利国は概ねインフレ率が高く、それが高金利の債券が発行できる要因です。

例えば、高金利国A国のインフレ率が10%で日本のインフレ率は1%とします。
今年の為替レートが1Aドル=100円の場合、

同じ商品・サービスを購入する際の1年後の価格は
A国では1ドル×1.10=1.1ドル
日本では100円×1.01=101円になります。

従って、同じ商品・サービスを買う値段ですので、1.10ドル=同じ商品=101円の式が成り立ちます。
この場合の為替レートは1.10ドル=101円となり、1ドルが91.8円に相当します。二年目では1.21ドル≒102円になり、1ドルは84.3円に相当します。

これだけの為替レートが円高にふれる要素を持っているのですから、償還までの期間が短いとはいえ、高金利国の債券を購入することは、期待リターンに対して為替リスクが大きく、極めてリスクの高い投資と思われます。

要は「円安を期待した」投資となります。

為替は消費者物価指数(インフレ率)、購買力平価だけで決まるものではありませんが、長期的には消費者物価指数(≒インフレ率)や二国間の購買力平価を反映するとされています。

以上のように、高金利国の通貨建ての債券は、販売会社にとっては、往復の為替手数料が得られる美味しい商品ですが、我々一般投資家にとっては、為替リスクの大きさに対してリターンが低い商品になります。

『売り手の利益が買い手のコスト』の典型と考えています。

ましてや、今回の金融危機に因り、デフォルトが発生した国の債券もあり、私は高利回りの債券をポートフォリォに組入れることをお勧めしていません。

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