- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
厳罰化で不法投棄は撲滅できない
画像は、6月23日(火)に行う「廃棄物処理法の課題と、これからの制度運用・法改正」セミナーの資料の一部です。
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セミナー当日は、このようなオリジナルスライドを多数お示しし、廃棄物処理法の過去、現在、未来についてお話します。
現在、中央環境審議会の専門委員会において、廃棄物処理法改正にむけた検討が進められていることは既にお伝えしたところです。
廃棄物処理法改正の動き
その中で、相変わらず各地で続いている不法投棄を撲滅するため、不法投棄の罰則を引き上げてはどうか という意見が出ています。
不法投棄の罰則は、相次ぐ法律改正によって引き上げてこられた歴史があります。
現在の罰則は、「5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金」となっています。
ここまで罰則を引き上げても、不法投棄が絶滅することはありませんでした。
最近では、「成人雑誌」や「野生動物の死体」など、一般廃棄物にあてはまる廃棄物の不法投棄によって逮捕されるという、少々不気味状況が続いています。
罰則の上限は引き上げられてきましたが、初犯からいきなり「懲役5年」を求刑されることはまずありません。
また、「最長で懲役5年の可能性がある犯罪だから、ゴミを捨てないでおこう」と、理知的に行動できる人間なら、最初から不法投棄を意図することもないでしょう。
不法投棄の実行者のほとんどは、最長で懲役5年などという、法律の規定を知らずに違法行為をしているはずです。
そのため、これ以上罰則の上限を引き上げても、不法投棄の抑止効果は望めないと思われます。
今必要なのは、罰則を引き上げることで大衆を恐れさせることではなく
廃棄物の不法投棄ができないシステムを作り上げ、国全体で運用していくことではないでしょうか。
不法投棄ができないシステムというのは、警察や行政の監視を強化するという意味ではなく
「廃棄物を無料で処理(廃棄物処理はメーカーが責任を持って行う)」や
「廃棄物の移動状況をリアルタイムで把握」できるようなシステムのことです。
廃棄物問題には、無限のビジネスチャンスが眠っていると思いませんか?