プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲解釈3 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲解釈3

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 米国特許判例紹介:プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲解釈
      〜限定解釈へ統一指針(大法廷判決)〜(第3回) 
   河野特許事務所 2009年6月8日 執筆者:弁理士  河野 英仁

          Abbott Labs., et al.,
           Plaintiff-Appellant,
              v.
         Sandoz, Inc., et al.,
           Defendant-Appellee.

3.CAFCでの争点
プロダクト・バイ・プロセスクレームは、記載されたプロセスに権利範囲が限定されるか?
 プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲解釈にあたっては2つの代表的な判例が存在する。Atlantic事件では、プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲は、その記載したプロセスに限定解釈されると判示された。Atlantic事件における、クレーム26は以下のとおりである。
 「クレーム1の方法により製造された成形インナーソール」
 イ号インナーソールは異なるプロセスにより製造されているが、特許に係る物に対して外見上は見分けがつかない。特許権者は異なるプロセスにより製造されたイ号インナーソールはクレーム26を侵害すると主張した。CAFCは当該原告の主張を退け、プロダクト・バイ・プロセスクレームはクレームに記載されたプロセスにより製造された物に限定解釈されると判示した。

 一方、Scripps事件においては、プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲は、記載されたプロセス以外のプロセスにより得られた物にも及ぶと判示した。

 CAFCはプロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲解釈が鋭く対立していることから、自発的に当該争点についてのみ大法廷審理を行った。プロダクト・バイ・プロセスクレームに記載されたプロセスとは異なるプロセスで製造されたイ号製品が特許権の侵害となるか否かが争点となった。

                                   (第4回へ続く)