プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲解釈2 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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村田 英幸
(弁護士)
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プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲解釈2

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 米国特許判例紹介:プロダクト・バイ・プロセスクレームの権利範囲解釈
      〜限定解釈へ統一指針(大法廷判決)〜(第2回) 
   河野特許事務所 2009年6月5日 執筆者:弁理士  河野 英仁

          Abbott Labs., et al.,
           Plaintiff-Appellant,
              v.
         Sandoz, Inc., et al.,
           Defendant-Appellee.

2.背景
  AbbottはU.S. Patent No. 4,935,507(以下、507特許)の専用実施権者である。507特許は結晶セフジニルに関する特許である。507特許のクレーム2〜5はプロダクト・バイ・プロセス形式で記載されていた。クレーム3及び4はクレーム2の従属クレームである。代表的なクレーム2及び5は以下のとおりである。

クレーム2. 7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液を室温ないし加温下で酸性となすことにより得ることができる7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の結晶。

クレーム5. 7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)をアルコールに溶解させ、加温下でゆっくりと撹拌を続け、次いで、これを室温にまで冷却した後放置することにより得ることができる7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の結晶。

 いずれも、「〜することにより得られる(・・is obtainable by 〜ing)」と、プロダクト・バイ・プロセス形式により記載されている。Abbottは507特許に係る結晶セフジニルをOmnicefの名称で販売している。原告製品Ominicefは、結晶セフジニルのA型結晶である。

 Lupin等はOmnicefの後発薬品を販売すべくFDA(Food and Drug Administration)の認可を受けていた。Lupinの後発薬品は結晶セフジニルのB型結晶である。当該Lupinの後発薬品(以下、イ号製品という)は507特許に記載されたプロセスとは異なるプロセスにより製造される。Lupinはイ号製品が、507特許の非侵害であることの判決を得るべく、バージニア州連邦地方裁判所に対しAbottを提訴した。Abottはイ号製品が507特許の侵害であるとして反訴した。バージニア州連邦地方裁判所は、プロダクト・バイ・プロセスクレームは、クレーム中に記載されたプロセスにより得られた物に限定解釈されると判断し、文言上も、均等論上もクレーム2乃至5を侵害しないと判断した。

 バージニア州における訴訟と並行し、AbottはSandoz等を、507特許の侵害であるとしてイリノイ州連邦地方裁判所へ提訴した。Sandozも同じく、後発薬品(以下、同様にイ号製品という)を販売すべくFDAに申請を行っていた。イリノイ州連邦地方裁判所は、バージニア州連邦地方裁判所がなしたクレーム解釈を採用し、特許非侵害との判決をなした。

 Abottはこれらの判決を不服としてCAFCへ控訴した。なお、以下では専用実施権者であるAbottを原告、イ号製品を販売するLupin及びSandozを被告という。


                                   (第3回へ続く)  
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