これまでは、そのバランスが必ずしも充分取れているとは言い難い状況でした。古い時代には、多くの個人の犠牲の上に、全体の「組織」の繁栄がもたらされた時代が長く続きました。王政や封建時代はその典型です。
近代以降は「個人」が脚光を浴びる時代となりました。医学は個人的な生活や感染症、腫瘍などに注目し、それを懸命に治療しました。その結果、個々の病気の治療技術は進歩し、病気になっても長生きすることが可能となりました。
しかし一方では、「環境」といった人間を取り巻く外部要因への対応は遅れました。その結果、公害問題やシックハウス、職場でのうつ病の増加、過労死や過労自殺の急増といった社会問題が続出しています。
近代では、個人の成功に関しても追求されました。成功哲学やコーチングなどによって、個人的な幸せや願望、生きがいといった要素が研究され、そのためのスキルや考え方が普及しました。それによって、一部の成功者は、確かに幸せになりました。
その一方で、組織はどんどん巨大化・複雑化し、個人の力ではどうしようもなくなってきました。また組織そのものが自己目的化し、個人の働く意欲や自己存在感をしばしば蝕んでいます。その結果、組織の不祥事の増加や自己崩壊、社会的信用の失墜などにつながっています。
近代以降のそういった病的な要素は、一言でいうと「環境病」「組織病」ということができます。つまり個人的な要素よりもむしろ、全体的、包括的、時代的な要素が強いのです。このような状況を根本的に解決するには、臨床医学やパーソナルコーチングといった、個人的な対応だけでは済みません。
全体的、包括的、時代的な「病理」を根本から解決するために、新たに要求されている考え方・手法は何か?その解答のヒントになると考えられるのが「建築医学」と「ビジネスコーチング」なのです・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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