住宅断熱基礎講座/02-3:中途半端な気密では不健康 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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住宅断熱基礎講座/02-3:中途半端な気密では不健康

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住宅断熱基礎講座 02.こうして不健康な「家」が生まれた
 さて、これまで住宅の不快さ、不健康さの原因を探ってきましたが、ここで住宅の気密性・断熱性の面から便宜上、アルミサッシュが使用される以前の気密性のない、従って断熱性もない昔の住宅を「非気密住宅」、単層ガラスのアルミサッシュが入り、外壁や屋根に50mm程度の厚さのグラスウールが入った関東以西では標準的な近年の住宅を「中気密・中断熱住宅」と呼んでみたいと思います。
 但し、「中気密」の「中」は「中位いの」というよりは「不完全な」とか「不十分な」という意味で用いています。

 非気密住宅の最大の問題点は家自体に気密性がないため「暖房」できず、「採暖」で寒さを忍ばなければならなかったことです。従って、「寒さ」さえ我慢すればそれ以外にさしたる問題もなく、どちらかと言えば環境条件に即した住居であったと言えます。

 前述したような様々な問題が発生したのは概ね中気密・中断熱住宅になってからのことです。中途半端な気密状態の中で「換気」を忘れたまま「局所暖房」を始めたことによって問題は連鎖的に起こり、不快で不健康な家とは正に多くの皆さんが現在お住まいの「中気密・中断熱住宅」のことなのです。

 これは日本の長い歴史の中で培ってきた開放的な「非気密住宅」から、今まで全く未経験な気密化への方向へ歩み出した過渡的な状況の中で起きた不幸と言えるかもしれません。