私の20年近い臨床経験から、病気になる要因と治る要因というものがあり、どういう要因をもっているかによって、その人が病気になる・ならないが、そして治る・治らないがある程度決まるのです。
最近の症例をみても、同じ時期に風邪をひいた2人の人が、一方は3日で治り、もう一方は2週間も治らずにひいている、という差が生じます。この2人の違いを仔細にみると、生活習慣や環境、心理状態などに明らかな差がみられることがあります。
これはしばしば男女差や年齢差、体格の差よりもはるかに決定的な差となります。つまり80歳の華奢なおばあさんが3日で治り、20歳の頑丈な男性が2週間も治らない・・という現象が日常的に起こるのです。
この差異を生じている第一の要因は「水」です。たかが水・・と侮ると痛い目にあうことになります。全体にいえることは、水の摂取量が少ない人は、風邪も引きやすく、また治りにくい傾向があります。
風邪が治った後もダラダラと咳をしたり、ぜんそく様の症状が発生するのも、水が足りない人に目立ちます。これは風邪に限った話ではなく、めまいやアトピー、糖尿病、脳こうそくなどの病気も、水が少ないと発生率が上がる傾向があります。
「水」というものは経済に譬えると「お金」に相当します。お金がなければ経済は成り立ちません。会社は潰れ、家庭は崩壊します。人体でも、栄養素や酸素は血液にのって全身に運ばれますが、水が足りないと血液がドロドロになり、末梢の組織まで充分に届きません。
その結果、臓器や皮膚、脳などが栄養不足、酸素不足に陥ってしまいます。それだけでなく、組織で生じた老廃物を回収するのも血液、つまり水です。水不足によって、老廃物や酸化物質が組織に蓄積してしまいます。
そのように大切極まりない水ですが、外来診療で問診すると、水を充分飲んでいない人がいかに多いか驚かされます。特にめまいを起こした人は、ほぼ例外なく水不足です。実際に、めまいの人に水を飲ませると大半がそれだけで改善するほか、点滴で補水すると一気に回復します。
日常的に水を充分に飲むよう指導し、実際に水を飲む習慣をつけた人は、病気の種類が何であれ、概ね改善傾向を示します・・(続く)
| コラム一覧 |
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
あなたの自然治癒力を引き出し心身の健康づくりをサポートします
病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
03-3277-3737