- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
昔の日本の家屋は柱梁は勿論、外壁や床板等に使われる木材は無垢の製材であり、屋根瓦にしろ土壁、漆喰、塗料等もその殆どが自然素材でできていました。
しかし、工業化が進み、化学的に合成された新建材が次々と市場に出回るようになると、安くて見栄えがして工事が楽な新建材は必然的にほとんどの住宅で使われるようになり、今では新建材を使わずに家を建てるのは現実的に不可能な状態になっています。
新築したばかりの家に入ると独特のツンとするような臭いがあり、今までは新しい家は皆そういうものだと納得させられていたのですが、実はその臭いこそ化学物質の臭いであり、例えば、建材に使用される接着剤や塗料等に含まれるホルムアルデヒド、ビニールクロス等に含まれる可塑材、畳の防ダニ剤など、室内で揮発して室内空気を汚染させる揮発性有機化合物(VOC)や、防腐剤、防蟻剤などに使われる農薬から揮発する有毒ガスが気密の高まった室内に充満して私達の健康を害しているのです。
化学物質過敏症はごく微量の化学物質によって目や鼻、喉の痛みといったアレルギー症状を引き起こし、一度ある化学物質に過敏な反応を示すと次々と他の化学物質にも過敏に反応するようになるという困った病気です。