【大災害のとき、建築士にもできること】 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

須永豪・サバイバルデザイン 
長野県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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【大災害のとき、建築士にもできること】

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建築的
阪神・淡路大地震があったように、
首都圏直下大地震も必ずあるとそのスジの専門家は口をそろえる。
それが5分後に来るのか、10年後に来るのか、が不確定なだけ。
そういう大災害の時に、細々と仕事をしている建築士が役に立てることってなんだろう?

大災害からの復興時には、早く生活を立て直したいと願う人たちは、 じっくり設計している時間なんて無いから、おそらくハウスメーカーに駆け込む。
でも、みんながそれで、いいのだろうか?
そういう街並ができちゃって、いいのだろうか?

そこで、須永豪・サバイバルデザインは、こうしようと思う。
大災害後の混乱期には、過去の仕事の図面一式をこのHP上で公開・無料ダウンロードできるようにしよう、と思う。
もし自分の土地に入りそうな建物があれば、どうぞお使いください。
図面一式をダウンロードして、どこでも工務店・建設会社に持ち込めば、大旨同じような建物を建ててくれる。
細かいところの多少の違い、内装外装の仕上や設備の仕様などは
好みやお財布・工務店の都合で自由にアレンジしてもらって構わない。
土地の形は、十人十色でみな違う。家族構成、生活スタイルも違う。
僕一人が放出してもうまく当てはまるプランはないかもしれない。
でも、少なくともハウスメーカーの家とは、全然違う建物ができる。

建築士ならだれでも過去の仕事の図面を持っている。
お金は、恥ずかしながらあまり持っていない。
建築士の財産は、ひとつづつ残してきた建物。
だから、困っている人の役に立つなら、それを放出したらどうだろう。

もしよかったら、みなさんもいかがでしょう?
もし他にも「やるよ」という建築士さんがいてくれたら、被災者の選択肢はうんと広がると思うのです。
やりたい建築士が個人的にやってもいいし、グループで集まって少し目立つやり方をする手もあるかもしれません。
「やるよ」という建築士が増えたら、そういう情報の交通整理をして、
必要な人に届きやすくするための本部のようなもの、
たとえば『復興住宅バンク』といったサイトを立ち上げるのも良いかもしれません。
「100万人のキャンドルナイト」や「打ち水大作戦」のようなネットワークでしょうか。
http://www.candle-night.org/jp/about/index.html
http://www.uchimizu.jp/
いずれにせよ言い出しっぺの僕は、一人から始めてみることにします。
(もし「一緒にやろうよ」と思ってくれる建築士さんがいたらぜひご連絡ください。リンクし合いましょう)

多くの建築士は(ウチも含め)、世間の皆さんに思われているよりずっと零細です。
これほど創造性と報酬がアンバランスな分野ってあるのだろうか、と思います。
それでも創造することを辞めない建築士ですから、基本的には心根の澄んだ人が多く、
世のため人のためになることをしたい、と心では思っています。
ただ、自分の日々の生活をガタガタにしてまで、ボランティアをやれる余裕は、あまりないだけです。

1回使って死蔵させてしまってる図面、僕のところにもいくつかあります。
僕の単独名義での住宅作品に限りますし、狭小住宅くらいしか当てはまらないかもしれませんが、
大災害を乗り越え立ち上がろうとする人のためには、喜んで提供させていただきます。
そういう時が来てしまった際は、どうぞ遠慮なくご連絡ください。


□おことわり
「設計されたものって、その建て主さんのものじゃないの?」
と思われるかたもいらっしゃるかもしれません。
そこのところをご説明します。

設計や図面は建築士の「著作」で、その権利は建築士にあります。
建て主さんとの契約では「建主はこの建築士の作った図面を使って、1回に限り建築することができる」となっています。つまりもう建物を建てた建て主さんは、「図面が手元にあろうと、同じ建物をもう1つ建てたり、図面を誰かに譲ったり公開しては、ならない」のです。

では、すごくいい建物に満足している建て主さんが、大災害の時に「親戚が困ってるから、ウチの図面、貸してあげるよ!」と独断で提供するのは? それは、してはいけないことなのです。それが、心からの善意であっても。(建築士さんの同意が得られれば大丈夫でしょう)

災害復興時に図面を無償で提供する、それは建築士の善意ではありますけれど、
その元々の建て主さんの同意を得ておく、それもマナーとして必要なことだと思います。
もちろん住所など個人情報は消しておかなくてはいけないですね。

http://www.sunaga.org/daily/daily0801.htm#081204

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須永豪・サバイバルデザイン 

響きあう木の空間

森や山と人、地球が健全に回っていく様子を見届けたい。 木を街に届け人の営みに森をもたらし木が、森が、地球が、生命が、人が、そして星々や宇宙までもが響あいはじめるそんな木の建築空間宇宙の意図が起動する響きあう木の空間をつくろう

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