ひとのつながりを回復し、個人も組織も共に成長する - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

伊藤 健之
ユー・ダブリュ・コンサルティング 代表
経営コンサルタント

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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月24日更新

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ひとのつながりを回復し、個人も組織も共に成長する

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会社よ、甦れ!部下も、社員も元気にできる
「元気をなくしている組織」の病根が、「ひとのつながりの欠如」であることを前回のコラムで
述べました。今回より、ひとのつながりを回復させる方法(Creative Dynamic Group Method)
について解説していきたいと思います。

こんにちは、グランデコンサルティングの伊藤健之です。
 
*Creative Dynamic Group Methodとは
このメソッドの開発者は、カルフォルニア州立大学の吉田耕作名誉教授といい、TQM/TQC
の世界的権威エドワード・デミング博士の直弟子にあたる方です。
現在、吉田耕作博士は、ジョイ・オブ・ワーク推進協会の理事長として、NTTコムウェア、NTT
データ、NECなどの大企業ばかりではなく、多くの中小企業に対しても以下理念の普及に努め
られております。(ちなみに、私は当推進協会の理事も務めています)

【ジョイ・オブ・ワーク推進協会ホームページより抜粋】
ジョイ・オブ・ワークという概念は、組織全体の目的をより効率的に達成するために、人間尊
重と和の精神に基づき、Creative Dynamic Group Methodなどのチーム活動を通して、働く
人に自己実現及び仕事の喜びを享受する機会を与えると同時に、内因性モチベーションに
よって彼等の勤労意欲及び創造性を最大限に発揮させる事により、組織体の競争力をつけ
ようとする経営の考え方である。



*ひとのつながりを回復させる「場」
CDGM活動は、6カ月が1クールになっており、現場が主導してトップを巻き込みながら職場
の問題を解決していきます。具体的には、小集団活動ラウンドテーブルという2つの「場」を
交互に実施することで、「現場同士のひとのつながり」および「現場とトップマネジメントとのつ
ながり」を深めていきます。

人は「ひととの関係性」の中でのみ、他者から認知され、自分の存在の確認し、役立ってい
る実感や成長実感をもてる生き物ですから、「ひとのつながり」が促進されると、組織で働く
意義を取り戻し、やる気や貢献意欲が増進され、主体性・創造力が引き出されます。

**小集団活動とは
5−6名で1つのチームを作り、自分たちで仕事をより良いものへ変えていく活動です。
メンバーは月に2回、チーム討議のために集まり、職場の問題について話し合います。
課題の中から半年間かけて解決するテーマを選定し、問題が発生する原因を洗い出して、
自分たちで改善できるプランをつくります。(1回のミーティング時間は2−3時間程度)
この小集団活動で話し合われた内容は、月に1回開催されるラウンドテーブルで発表されます。

**ラウンドテーブルとは
小集団活動メンバーとトップマネジメントが一同に介して、問題認識の共有や、施策の方向性
のすり合わせなどを行う「場」です。
ラウンドテーブルとは、「円卓」という意味ですから上座も下座もありません。
したがい、トップマネジメントは、小集団の活動内容を評価したり、論評する立場ではなく、現
場の改善活動をさらに加速させるために助言や支援を提供する役割を果たします。

ここで言うトップマネジメントとは、中小企業であれば役員クラスまたは社長、大企業であれ
ば部門長を指すのが一般的です。

**グランドルール
こうした活動に参加する/しない、取り組むテーマは自由、また、結果を評価しないという点が
特徴的で、QCサークルに代表される従来型の小集団活動(強制的な参加、テーマは与え
られる、評価と連動)とは大きく異なります。
 
 
*単なる「場」を「場力(ばぢから)」に変える
しかし、こうして用意する「場」は、それ自体は単なる人の集まりにすぎません。
それを活力ある「場力(ばぢから)」に変え、ひとのつながりを回復させるのは、トップと外部ファ
シリテーターなのです。
以下に、組織を活性化するなかで、トップと外部ファシリテーターが果たす役割・ルールの中
でも最も重要だと思うポイントについて、説明してみたいと思います。
(詳細は、また別のコラムで書きます)

**(場力1)トップマネジメントの役割
先述したとおり、トップマネジメントは、小集団活動の内容を評価したり、論評してはいけません。
現場の声に耳を傾け、改善活動に支援や助言を提供することが役割なのです。

トップがこの役割を演じることで、現場が変わります。
主体性や創造性が増し、活き活きしてくるわけです。

こうして成長する現場を見て、トップマネジメントの考え方が変わる(進化する)。その変化に
触れた現場がますます意気に感じて活き活きする・・・というように個人と組織が共に変わっ
ていく(成長していく)ことが、この活動の最大の醍醐味なのです。

つまり、順番はこうなのです。
  トップが役割を演じる
      ↓
  現場が変わる
      ↓
  トップの考え方が進化する
      ↓
  成長し続ける組織の実現

しかし、巷に溢れる「風土改革」「現場活性化」のモノの本には、必ずこう書いてあります。
「トップ自らが変わらなければ、現場は変わらない」と。

理屈は正しいのですが、「変える必要はない」「変えたいが変えられない」「どう変えるのかが
分からない」とマネジメントは悩んでいる(開き直っている?)ので、こうしたアドバイスは何の
解決にもならないことが多いのではないでしょうか。

CDGM活動の良いところは、トップマネジメントの方に「初めから変わらなくてもいい。まずは
月に2時間だけ、役割を演じることから始めてみてください」といえるところにあると思ってい
ます。大抵は、「2時間くらいだったら、その役割に徹してみるか」と言ってくれるものです。

極めて大事な順番ですので、今一度、書きます。
【活力みなぎる組織づくりの順番】
  トップが2つの「場」を設ける
      ↓
  そこでトップが役割を演じる
      ↓
  現場が変わる
      ↓
  トップの考え方が変わる(進化する)
      ↓
  現場もトップも共に成長する
      ↓
  成長し続ける組織の実現


**ノイズの中から「真のシグナル」を見つける
トップの方は、役割を演じることを忘れて「何を甘ったれているんだ」のような発言をしてしまわ
ないように、くれぐれも気をつけてください。
とくに活動初期段階においては、現場とトップの方の信頼関係は希薄な場合が多いものです。
トップの不用意な発言が「何を言ってもムダ」という空気を生み、その後の活動に大きな支障
をきたしてしまいます。

繰り返しになりますが、初期段階においてはある程度の忍耐力をもち、現場の問題認識の背
景にある感情や事情を理解しようと努める
姿勢が大切です。

もちろん、中には甘えの要素も大いに含まれるものですが、本質的な問題だけをストレートに
聞き出すことはできないものです。
「ノイズの中に、真のシグナルがある。」
これを見つけるのがトップマネジメントの役割になります。


ここでコラム文字数制限の3000文字に達してしまったので、「外部ファシリテーターの役割」
についての話しは、次回にしたいと思います。

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