- 野村佳代
- 出版/広告プロデュース〜企画・ライティングからデザイン・印刷まで 株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役
- ライター
二重表現は推敲の段階でチェック
書く際は気にしなくてもよい
文章のルールとして、「二重表現は避ける」というものがあります。
たとえば「後で後悔する」というような表現です。
もともと後悔は後ですることですから、わざわざ「後で」と付け加える必要はありません。
「腹痛が痛い」も二重表現で、腹痛というだけで痛いことがわかるのですから、「腹痛がする」が正しい表現となるわけです。
しかし、さすがに「腹痛が痛い」と言う人が少ないのに対して、「後で後悔する」という誤った表現がよく使われています。
そこで、すでによく使われている表現については認めてもよい、という議論も起きてくるわけです。
私自身、話をするときには「後で後悔するよ」と言ってしまいますし、特に指摘されることもありません。ほかにも、「あらかじめ予告する」「一番最後」なども、一般的に使われている二重表現でしょう。
誤った二重表現は、会話の中ではすでに不自然でなくなっているものもある、と考えたほうが現実的なのです。
しかし、文章を書く際には避けたほうが賢明です。
特になくても意味は通じますし、まだまだ誤用が気になる人もいます。
その他の二重表現は以下のようなものです。
・ 最後の結末→結末
・補足説明を追加する→補足説明をする
・はっきり明言する→明言する
・しかし、逆に→しかし(または)逆に
・まず第一に→第一に
・行った行為→行為
・上を見上げる→上を見る(または)見上げる
・一番最後→最後
避けたほうがよい二重表現ですが、書く際に二重表現という細かな点を気にしていたら、筆が進まなくなってしまいます。
そのため、書く際よりも推敲する際に気をつけるのが得策です。
読み返す際にチェックして、違和感のある二重表現を省いてください。
次回は、「意外と知らない表記の基本」について紹介します。