家具の製作手順について−板作り− - オーダー家具 - 専門家プロファイル

今井 大輔
注文家具屋 フリーハンドイマイ 代表取締役社長
神奈川県
キッチン・インテリアデザイナー

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:オーダー家具・装飾品

野澤 祐一
野澤 祐一
(インテリアコーディネーター)
稲垣 史朗
稲垣 史朗
(店舗インテリアデザイナー)
収納ドクター@長柴美恵
収納ドクター@長柴美恵
(リフォームコーディネーター)
今井 大輔
(キッチン・インテリアデザイナー)
今井 大輔
(キッチン・インテリアデザイナー)

閲覧数順 2024年04月18日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

家具の製作手順について−板作り−

- good

  1. 住宅・不動産
  2. オーダー家具・装飾品
  3. オーダー家具
オーダー家具のおはなし

私たちのところでは、無垢材を使った家具作りとフラッシュ構造の家具作りの両方の作り方を行っています。

打合せをしている時、「家具はこうやってできるのですよ。」と最初の段取りから説明させて頂くと「なるほど、それだけ手間が掛かっているなんて知りませんでした。」と言われることが多いのです。

どんな手間が掛かるのかと言いますと、まずは家具を組み立てる前に材料となる板を作る作業があるのです。
板というのは最初から2cmとか3cmの厚みの板があって、それを必要なサイズにカットして作ると思われている方が多いのですが、じっさいはその厚み2〜3cmの板を作るまでも時間が掛かるものなのです。

無垢材の場合


私たちのところでは丸太で材木を買うことはないので、ある程度製材された良材を材木屋さんから取り寄せています。
でも、そのまますぐに使って家具を組み立てられるものではなく、鋸刃の跡はついていますし、製材してからも木は動きますのである程度歪んでいます。
届いた材料をすぐに使うと板が動きやすいので、材料はあらかじめ取り寄せておいて、工場の中の環境に慣らします。
そして、使うときが来たら使いたい頃の1〜2週間前に仕上がり寸法よりも数センチ大きめに板をカットして、その板の全ての面の皮をむきます。木は今まで生きていたものですから、必ず全てが均一な良材と言うわけではありません。皮をむくと、中にひびが入っていたり、変色していたり、節があったりとその表情はさまざまです。この時点で不良材は家具としては使えなくなりますので取り除き、(クラフト用材やフォトフレームを作るのに使います。)また別の材を下ろして乾燥させます。。こうして木の新しい表面に空気をまんべんなく当てるのです。そして、そのままさらに1週間ほど乾燥させます。こうしてようやく板は落ち着きます。(それでも、このあとも木は絶えず少しずつ動き続けるわけですが・・。)落ち着いて始めて、歪んだ板の直角を出し、その後平行を出して、厚みを揃えて、幅を決めてようやく指定寸法の1枚の板ができあがります。

フラッシュ構造の場合


合板とは、薄くした木を並べて、タテヨコタテヨコと互い違いにその薄い板を重ねて接着することによって作られる板です。木の繊維がタテヨコとなるので薄くても反りが起きにくく軽い材料になっています。
この合板に塗装をしたポリエステル化粧板、ビニル質の木目シートを貼ったものがオレフィン化粧板、無垢材の表面を薄くスライスしたものを貼ったものが突き板と呼ばれています。

この薄いそれぞれの板と板を張り合わせて1枚の板を作るのですが、この薄い板同士のあいだに軽くて反りの起きにくい芯となる材料をはさみます。
芯となる材料は、パーティクルボード、MDF(中質繊維板)ランバーコアなどいろいろあるのですが、私たちのような一般的な家具屋さんでは、軽くて強度のあるランバーコアを使うことが多いです。
そして、まずはこのランバーコアを幅5cm、長さ2.4mくらいサイズの棒にして、それを必要な長さに切っていきます。例えば、幅45cm、長さ90cmの板を作る場合は、長さ91cmの棒を2本と長さ36cmの棒を4〜5本と言う具合です。
そして、長さ35cmの棒を90cmに対して3〜4等分になる位置において長さ90cmの棒で挟んで組み立てることでようやく46cm×91cmの芯の四角形ができます。
20cm〜30cm間隔でこの芯材が入っているので、強度も十分です。
この四角く組んだ芯材に先ほどの各合板を表面、裏面に接着します。接着にはプレスと呼ばれる機械(巨大なおもりのものようなものです。)が圧着させ、乾燥後のりがはみ出た余分な1cmをカットして、ようやく45cm×90cmの板の完成です。
フラッシュ構造の場合は、このように必要な部分以外は中を中空構造にすることで、反りが起きにくく、軽い材料にすることができるのです。

このようにして出来上がった板を使って、それからようやく家具の組立てとなるのです。

実際に板を作るのもこうやって文章で説明するのもなかなか時間の掛かるものなのです。


注文家具屋 フリーハンドイマイ

http://www.freehandimai.com/

ブログ「自由な手たち」

http://freehands.exblog.jp/

このコラムに類似したコラム

また素敵な形が。 今井 大輔 - キッチン・インテリアデザイナー(2009/11/21 19:17)

ちょっと変わった機構 今井 大輔 - キッチン・インテリアデザイナー(2009/07/28 14:00)

モダンな座卓 今井 大輔 - キッチン・インテリアデザイナー(2009/05/16 22:12)

いつまでも、どこまでも使える家具を 今井 大輔 - キッチン・インテリアデザイナー(2009/04/05 09:55)

家具のコストについて-椅子のこと- 今井 大輔 - キッチン・インテリアデザイナー(2009/04/03 16:25)