- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
中間処理前における廃棄物の選別
重点計画事項から抜粋
廃棄物処理法においては、廃棄物の選別を行う行為は廃棄物の処理に当たることから、廃棄物処理業許可を取得した上で行う必要がある。その際、排出事業者とあらかじめ委託契約において合意していれば、処理業者が収集運搬、処理の段階で選別した有価物については処理業者の意思で売却することが可能であり、無価物については、排出事業者が性状ごとに指定した最適な処理業者で処理することが可能である。
しかしながら現状では、廃棄物処理業者がかかる処理が現行法で可能であると認識しておらず躊躇する事例もあるため、適正かつ効率的な廃棄物処理及び再生利用を促す観点から、可能であることを周知する。
上記の説明を読むと、「中間処理業者は自由に選別行為ができ、それによって得た有価物を自由に処分できるのか」と受け止めてしまいがちですが、法律的には、実はそう簡単ではありません。
「選別」という言葉には、「手作業でやる選別」から「自動的に機械で一律に行う選別」まで、多種多様な選別行為が含まれていますが、上記の計画で言うところの「処理の段階で選別」とは、「自動的に機械で一律に行う選別」のことを指します。
「手作業で行う選別=手選別」は、上記の「収集運搬(中略)の段階で選別」に当たりますので、「積替え・保管を含む」収集運搬業の許可が必要となります。
これを別の言い方で環境省が説明している文書があります。
規制改革会議 生活・環境TF御質問事項に対する回答についての2枚目になります。
中間処理前における選別については、現行の廃棄物処理法の運用の下においても、収集運搬業の許可を有することを前提として認めることが可能である。
実務的なケースを元に、許可の要否を整理すると
・木くずの破砕処理をする中間処理業者が、一連の工程の中で、木くずの破砕前に「磁力選別」などで鉄くずを除去する場合は、中間処理工程の一環なので「選別」の許可は不要。
・建設廃材のミンチなど雑多な廃棄物からなるものを、廃プラスチックなどの種類ごとに機械を用いて選別する場合は、「選別」という中間処理の許可が必要*1。
・コンテナの中身を一度地面に展開し、その中から手作業で「売れそうなもの」と「中間処理すべきもの」を選別したい場合は、中間処理の一環として行うのは不可。積替え保管を含む収集運搬業の許可が必要となる。
このような仕分けになります。
「中間処理前における廃棄物の選別」は、重点計画事項の1番目に挙げられている項目ですが、
「可能であることを周知する」という措置にとどめられており、実務上新たな「選別」が可能になったわけではありません。
「廃棄物処理法」の定義自体も変化していませんので、実際に「選別」を行う際には、必要な許可の確認を怠らないようにしてください。
※執筆者:尾上雅典 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
*1自治体によっては、「選別」を中間処理として認めていないところもあるので注意が必要