選択権があるようで実は選べないこと - 組織改善・風土改革 - 専門家プロファイル

ユニティ・サポート 代表
東京都
経営コンサルタント
03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:人事労務・組織

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

選択権があるようで実は選べないこと

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 人事労務・組織
  3. 組織改善・風土改革
社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え

 数年前の小さな話題でしたが、その当時サッカーのスペインリーグに在籍していた日本人選手が、スペイン国王の来日にあたっての首相晩餐会に招待され、それに出席するために帰国することになったというものがありました。

 シーズン真っ只中で、公式戦の欠場が必須だったため、選手個人への批判的な意見まであったようですが、クラブ幹部が招待を特別に名誉なこととして受け止め、チームの知名度アップなども考えたクラブの意向として、残ってプレーしたい本人を説得して帰国させることになったということのようでした。

 もちろん断ることはできたと思いますが、比較的田舎の小さなクラブで、日本の首相や自国の国王が出席するような場に自チームの選手が招待されたとなれば、相当に重大なこととして受け止めたのは十分に想像できることです。

 当時の私の個人的な意見としては、シーズン中のアスリートに帰国を強要するような安易な招待をすることは、少し配慮が足りなかったと思っていました。

 招待した側は、出席するかどうかは相手の判断次第だと、少し気軽に思っていたのかもしれませんが、招待された側からすれば、これほど権威がある場へ招待を断ることは難しく、選択権はないに等しく、辞退するという選択肢は、実質的には存在しなかったのではないでしょうか。

 

 このように、一見すると選択権が与えられているように見えても、実質では選ぶことができないという場面は、実は多くの人が何らかの形で経験していることだと思います。

 「この人から頼まれたら断れない」であったり、「異議を唱えてはその後の心証が悪くなる」であったり、「この人に盾突いては後からの報復が怖い」であったり、他にも様々なパターンがあるでしょう。

 そして、そのようなケースのほぼすべては、投げかける側が権威者もしくは権限者であることです。

 

 会社の中でこれに該当する例を考えてみると、「上司が残っているから帰れない」「上司からの飲み会の誘いを断れない」「大事な用事がある日の残業指示を調整できない」などといったことがあります。

 上司からすれば、別に強制しているつもりではなかったり、無理する必要はないと思っていたり、相談してくれれば十分に調整する余地があると思っているかもしれません。

 しかし、部下の側からすると、その選択肢は一切考えられないと捉えている場合があります。そして、そう思ってしまう原因の多くは、上司の日頃の言動や振る舞いに起因したお互いの距離感にあります。

 

 もちろん組織の中では、部下への選択肢を与えずに上司が指示しなければならない場面はありますが、その一方で、本人に選択させるプロセスを経た方が、その後の取り組みがスムーズになることもあります。しかし、上司は選ばせているつもりであっても、部下に選んだ自覚がないということは、意外に多くあります。

 これを適切にコントロールするには、上司が部下の心理をいかに意識できるかにかかっています。選択肢を与えるべき場面では、本音で選べるようにしなければ部下の不満がたまっていき、いつか爆発してしまうことがあり得ます。

 

 上司は何でも言いやすい雰囲気を作っていると思っていても、部下はそう思っていないことが多々あります。権威者や権限者は、常に周りに無言の圧力を与えています。そのことで、一見選択肢が与えられているようで、実は選べないということがたくさんあります。

 上司は「自分が権威者、権限者である」ということを、今一度自覚しなければならないと思います。

 

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(東京都 / 経営コンサルタント)
ユニティ・サポート 代表

組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。

03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

カテゴリ 「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム

カテゴリ このコラムに関連するサービス

対面相談 【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断

中小法人限定で当事者には気づきづらい組織課題を社員ヒアリングで診断。自社の組織改善に活かして下さい。

料金
無料

組織の課題は、当事者しかわからない事とともに、当事者であるために気づきづらい事があります。これまでの組織コンサルティングで、様々な組織課題とその改善プロセスにかかわった経験から、貴社社員へのヒアリング調査によって組織課題を明らかにし、その原因分析や対策をアドバイスします。予算がない、依頼先を見つけられないなど、社外への依頼が難しい中小法人限定です。社員ヒアリングのみで行う簡易診断になります。

【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断

このコラムに類似したコラム

「口出しするが手は出さない上司」と「自分でやって部下に任せない上司」 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2022/06/02 07:00)

「仕事ができない上司」を支える部下に会社は甘えてはいけない 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2018/08/14 08:00)

つい信頼してしまいがちな「人によって態度が変わる人」 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2015/02/17 08:00)

上司への報告、社員への報告 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2013/10/14 08:00)

「嫌い」と言われる人の共通点 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2010/11/08 00:00)