日経記事;『ホンダが米にEV電池工場 LG系と、6100億円投資 25年の量産めざす』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ホンダが米にEV電池工場 LG系と、6100億円投資 25年の量産めざす』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

8月30日付の日経新聞に、『ホンダが米にEV電池工場 LG系と、6100億円投資 25年の量産めざす』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『ホンダは29日、韓国電池大手のLGエネルギーソリューションと米国で電気自動車(EV)向け電池工場を新設すると発表した。投資額は44億ドル(約6100億円)で自社専用のEV電池工場は初めて。カリフォルニア州でガソリン車の全面禁止案が発表されるなど、米国でもEVシフトが急速に進む見通し。世界の電池や車大手が相次いで工場建設に動く中、トヨタ自動車など日本勢も脱炭素を加速する。。。』

 

8月26日に書きましたブログ・コラム、日経記事;『米カリフォルニア州、2035年にハイブリッド車も販売禁止』に関する考察の中で、米国カリフォルニア州で、ZEV(Zero Emission Vehicle)の導入計画案が公式に決まったことについて書きました。

 

ホンダにとって、米国市場は日本に次いで重要な市場です。この米国市場で、もしホンダが敗者になれば、当社の経営に深刻なダメージを与える可能性があります。

 

ホンダは、現在、自動車の新規開発をEVか燃料電池車の環境対応車に絞っています。本日の記事は、EVのコアデバイスである電池の工場を、LGエネルギーと組んで米国内に建設することを決めました。

 

米国では、新たな歳出・歳入法が8月16日に成立しました。この法律は、歳出の大半が再生可能エネルギーの推進など気候変動対策となるとことが特徴です。

 

また、この法律では、米国内のEVやPHV購入者に対して、米国内もしくは北米自由貿易協定の国(米国、カナダ、メキシコ)で生産された自動車であれば、新車の場合、最大7500ドル(約100万円)の税額控除を実施します。

 

中古車でも、4000ドルの税額控除が実施されます。

 

この歳出・歳入法は、気候変動対策を行いながら、中国企業を米国市場から排除する。さらに、米国内もしくは北米自由貿易協定の国での部材・部品調達の義務付けを含む生産品に限定することで、1種の保護貿易となる障壁を設けようとしています。

 

ホンダが韓国の電池メーカーと組んだ理由は、米国政府による中国企業排除の方針が影響していると推測します。

 

現在、ほとんどの国内自動車メーカーは、米国内もしくは北米自由貿易協定の国でEVやPHVを生産しておりません。したがって、今後、ホンダやトヨタなどのメーカーは、米国やカナダ、メキシコでの生産準備を加速させる必要があります。

 

電池の現地調達も大きな課題の一つになります。

 

現時点で、自動車メーカーがEVもしくはPHV用の電池に関して、連携(アライアンス)を組んでいる先は以下の通りです。

・ホンダ;LGエネルギーソリューション

・トヨタ;パナソニック、BYD(中国)

・テスラモーターズ;パナソニック、CATL(中国)、

・フォード;SKイノベーション

なお、トヨタとテスラモーターズは、自前の電池工場を米国内に持つように動いています。

 

欧州も環境保護規制を盾にして、1種の貿易障壁を構築する可能性があります。欧州も、米国と歩調を合わせて、中国との関係見直しつつあります。

 

国内自動車メーカーは、EVの生産や電池調達など、地政学リスクを勘案しながら、多面的にEV、PHV、燃料電池車の開発・生産を進める必要があります。

 

さらに、将来の自動車としては、自動運転機能の設置は必要不可欠になります。

 

ホンダ、トヨタなどの国内自動車メーカーは、今後2~3年の間に、米国や欧州の自動車市場で勝ち抜く多ために、多額の投資を行う必要があります。

 

このような複雑な事業環境下で、競争力のあるEV、PHV、燃料電池車を開発・生産するためには、徹底的なオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を実施して、多くのビジネスパートナーと共に事業を行うことが、必要不可欠です。

 

どの自動車メーカーも、1社単独で競争力のある環境対応車の開発・実用化は、不可能です。

 

ホンダやトヨタなどの国内自動車メーカーが、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を巧みに活用しながら、この難局を打開することを期待します。

 

この視点から、国内自動車メーカーの動き方に注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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