差し止め中の改正規則は米国特許法に反するか?-5- - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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閲覧数順 2016年12月05日更新

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差し止め中の改正規則は米国特許法に反するか?-5-

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米国特許判例紹介:差し止め中の改正規則は米国特許法に反するか?

        Triantafyllos Tafas. et al.,
        Plaintiffs-Appellees,
             v.
         John J. Doll. et al.,
          Defendants-Appellants.

    〜継続出願の回数制限は違法か〜(第5回) 
河野特許事務所 2009年4月14日  執筆者:弁理士  河野 英仁


●CAFCの判断

 CAFCは、改正規則は実質的なものではなく、手続き的なものであり、USPTOの規則制定権限の範囲内であると判示した上で、以下の判決をなした。

(1) 規則78・・継続出願及びCIP出願の回数制限
 規則78は米国特許法第120条の規定に反する。
 CAFCは地裁及び被控訴人の主張を認め、3度目以降の継続出願及びCIP出願の制限は、先の出願日の利益を得ることができる米国特許法第120条の規定に反し、違法であると判示した。

 米国特許法第120条は以下のとおり規定している。
「第120 条 合衆国における先の出願日の利益
合衆国において先に提出された出願又は第363 条によって規定されている出願において第112 条第1 段落に定められている方式によって開示されている発明に関する特許出願であって,先に提出された出願に名称表示されている発明者によってなされるものは,その発明に関し,先の出願の日に提出された場合と同一の効果を有するものとする。ただし,その出願が,最初の出願または最初の出願の出願日の利益を受ける権利を有する類似の出願に関する特許付与又は出願手続の放棄若しくは終結の前に提出されること,及び先に提出された出願についての明示の言及を含んでいるか又は含むように補正されていることを条件とする。出願は,先に提出された出願への明示の言及を含む補正書が特許商標庁長官が要求する,出願係属中の期間内に提出されない場合は,先の出願に係る本条に基づく利益を受ける権利を有さない。特許商標庁長官は,前記期間内における当該補正書の不提出を本条に基づく利益の放棄と考えることができる。特許商標庁長官は,本条に基づく補正書の故意でなく遅延した提出に関し,割増金の納付を含め,その受理手続を制定することができる。」

 米国特許法第120条は、同条中に記載された「4つの要件」を満たす出願人は、その発明に関し,先の出願の日に提出された場合と同一の効果を「有するものとする(shall)」と規定している。

 具体的には、
[1]出願においてクレームされた発明は先の出願に適切に開示されていること。
[2]出願は先の出願に記載された発明者により出願されなければならないこと。
[3]出願は「最初の出願または最初の出願の出願日の利益を受ける権利を有する類似の出願に関する特許付与又は出願手続の放棄若しくは終結の前に提出されること。」及び
[4]出願は先に提出された出願についての明示の言及を含んでいるか又は含むように補正されていること。
 を満たす場合には、米国特許法第120条の利益を得ることができる。

 ここで、米国特許法第120条に規定された、「Shall(〜するものとする。〜しなければならない。)」は、排他的要件であることを示す。つまり上述の4要件を満たす出願人は米国特許法第120条に規定する利益を得なければならないということを示すものである。

 CAFCは、規則78はこれら4要件以外の要件を追加していることから違法であると判断した。つまり、嘆願書「今回提出する補正、意見、または証拠が、先の出願の審査過程においてなぜ提出されなかったか」の提出の適否により、先の出願日の利益が得ることができないとする規則78は、新規要件を課すものであり米国特許法第120条の規定に反するからである。

 以上のとおり、CAFCは規則78が違法であるとする地裁の判断を支持した。

(第6回に続く)
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