自分のこと「性格が悪い」と思っていませんか

梅雨入りしましたね　この1週間、近所のあちこちで紫陽花を見かけました

さて、カウンセリングをしていると、ご自分のことを「私は性格が悪いから（不運に見舞われる・誰からも好かれないなど）」とおっしゃる方によく出会います。

私は今は性善説を信じているので、生まれつき性格が悪い人はいないと思っています。でも、昔は真逆だったので、自虐される方の気持ちもよくわかります。

そして、自虐されている方のお話を聞くと、たいてい「それは自分に厳しすぎ、理想が高すぎるのでは？　それだと誰だって性格悪い人になっちゃうよ」と思います。

たとえば、人の幸せを素直に喜べないとか（誰だってそういうときはあります）、急に予定を変更されると相手に怒りを覚えてしまうとか（失望が怒りに変わるのは構造的に自然なこと）、注意やアドバイスに傷ついてしまうとか（善意のふりをしたハラスメントの可能性が高いです）とか、私にとってはごくあたりまえな感じ方を罰していることが多いです。

どうも、ネガティブな感情をいだくことそのものが悪、あるいはネガティブな感情は正しくないと思っているようなのですが、それは完全に誤解です。感じ方に正解はないんです。

感情にはポジティブな感情とネガティブな感情がありますが、これは快・不快であって、善悪ではありません。ネガティブな感情は不快ではあるけれど、決して不必要な感情ではなく、むしろ私たちに気づきをうながして自分を快適にしてくれるとても大切な感情です。だから否定されると、気づいてもらうためにどんどん声を大きくしていくんです。

感情を感じることと表現することは違うので、誰かを悪く思うことはぜんぜん問題ありません。好きな人がいるように嫌いな人がいるのは自然なこと。性善説の私にも嫌いな人はいます。他人にネガティブな感情を抱く自分を否定しなくていいんです。

嫌いな人を好きになろうとするなんて無理（ムダ）な努力をする必要はないですが、嫌いだからとそれを態度や表情に出してしまうのはNG。表現のコントロール（＊嘘をつくことではない）ができないのは、性格が悪いからではなく、まだ大人になりきれていないということです。

となると、「性格が悪い」「いい性格」って具体的にどういう性格なんでしょうね。

私は他人を利用したり傷つけたりするのはよくないことだと思ってます。ただ、ここ数年ハラスメント関連の勉強をするなかで、加害者はかつて被害者であり、自覚がないのは自己防衛のためだという構造を知り、暴力は悪だけど、暴力をふるう人は悪人ではない、いわゆる「罪を憎んで人を憎まず」の心境になりつつあります。

「性格が悪い」「なまけもの」「損ばっかりしてる」「うまくいかない」などと自分を否定するのは一種の自傷行為です。こうした自分への否定的なメッセージをくり返すたびにマイナスの自己暗示を強化していることになり、本当にそういう人になってどんどん自信がなくなってしまいます。

どうしたら自信がもてるようになるかもよく質問されますが、まずは、こうした自分への否定的なメッセージで自分を傷つけることを減らしましょう。

具体的には、まずメッセージに気づけるように意識する練習から。そして、気づいたら自分のなかで「気づけてよかった。性格が悪いわけじゃない。傷ついて悲しいだけ」などと言いかえてあげましょう。

クセを修正するには根気がいります。何度も何度もくりかえし練習していくと、だんだん効果が表れてきます。すぐに結果をほしがる人にはもどかしいでしょうけれど、少しずつを耐えるのもまた練習です。そこであきらめずに続ければかならず変わっていきます。ぜひお試しを。