- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
日経記事;『日立、日立物流を売却 KKRが6000億円超で買収へ』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
4月21日付の日経新聞に、『日立、日立物流を売却 KKRが6000億円超で買収へ』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『日立製作所はグループ会社の日立物流を売却する方針を固めた。現在株式の4割を保有する筆頭株主だが、比率を1割まで引き下げる。米大手ファンドのKKRに売却に向けた優先交渉権を与えた。KKRは6000億円超を投じ、日立物流を買収して非公開化する見通し。IT(情報技術)を軸に進めてきた日立のグループ再編がほぼ完了する。。。』
日立の集中と選択作業については、何度か本ブログ・コラムでも取り上げてきました。本日の記事によると、日立が日立物流を売却することが決まりそうです。
この売却が決まると、日立が2009年の巨額赤字計上後、10年強の期間で行ってきた「集中と選択作業」がほぼ終わりになります。
日立が一連の集中と選択作業で行ってきたのは、経営の柱となるIT関連事業への集中的な経営投資です。ITと遠い事業は、日立から切り離してきました。
日立はIT事業分野で特に注力しているのは、IoT対応の強化です。また、IT以外では、環境および産業関連が日立の新規事業分野になります。
日立の競合企業は、国内ではなく、主に欧米企業になります。特にIT分野では、米国企業との熾烈な競争になります。
日立が米国などのITを含めた競合企業との競争に打ち勝つには、旧財閥系企業が採用していた伝統的な経営手法でなく、迅速な意思決定と行動力が必要になります。
伝統的な国内企業の経営手法では、事前に入念な情報収集と検討を行い、経営陣の意思疎通を行うための根回しを行い、意思決定と行動計画をまとめ、実行します。
そして、新規事業立上のようなリスクが発生することについては、周りの企業の状況などをみながら、慎重に検討して、対応していきます。
IT分野では、このような慎重な牛歩の速度経営は、全く通用しません。国内企業が、世界市場でシェアを落としていることの理由の一つが、海外企業との競争に打ち勝つ強い気持ち・方針が無いことによります。
私は、国内ベンチャー・中小企業の経営支援を行っている中で、国内の中堅・大手企業との事業連携(アライアンス)を組もうとすると、多くの場合、直面するのが相手企業の慎重さや意思決定の遅さになります。
一般的に、欧米企業との事業連携(アライアンス)は、お互いに是々非々ベースで会話して、「Win/Win」の関係が明確になれば、すぐに実行する動き方ができます。
日立の顧客の多くは、企業です。企業との関係の結び方も、日立の事業展開と密接に関係してきます。
IT分野では、ソフトウエア開発のやり方の一つとして、アジャイル開発が注目されています。
アジャイル開発は、ウィキペディア(Wikipedia)のWebサイトで説明されています。
アジャイル開発が注目されたのは、インターネット・ITの急速普及により、迅速に変化するビジネス環境下、ソフトウエアに対する要求の変化も激しさを増してきたため、変化に柔軟に対応する必要性によります。
アジャイル;Agileは、機敏さを意味します。
一般的に、アジャイル開発は、1週間から1カ月の反復期間を設け、その反復ごとに機能の追加を継続する「反復増加型」の開発プロセスによって実行されます。
これに対して、伝統的なソフトウエア開発のやり方は、要件定義、設計、開発、実装、テスト、運用までの各工程を段階的に完了させていくウォーターフォール開発と言われます。
アジャイル開発とウォーターフォール開発の大きな違いは、ウォーターフォール開発はソフトウエア開発途中での仕様変更や追加対応が困難なことになります。
もしソフトウエアの開発期間内に、仕様変更などがなければ、ウォーターフォール開発は有効です。
ソフトウエアの開発期間中に、仕様変更などが予想されるのであれば、アジャイル開発の方が有効になります。
事業環境が急激に変化する状況では、ソフトウエア開発は、アジャイル開発の手段が効果的です。
日立が今後ソフトウエア開発をどのように行うかが、欧米企業との競争に大きな影響を与えます。この視点から、日立のIT事業の展開のやり方に注目していきます。
また、日立は、IT分野だけでなく、環境および産業関連分野でも、多くの海外企業との競争に打ち勝つ必要があります。
日立がこれらの3つの事業分野で勝ち組になるには、1社単独で事業展開するやり方は通用しないと考えます。
IT分野以外でも、事業環境の変化が速いため、日立は迅速に開発、設計、製造、販売の経営プロセスを回す必要があります。
メーカーが、上記経営プロセスを迅速に回すための、やり方の一つが他社との水平分業方式になります。多くの欧米企業がこのやり方を採用しています。
そのため、日立は、水平分業方式での事業展開をより一層強化して、競合企業の事業展開の速度以上の速さでビジネスを行うことが必要になると考えます。
水平分業方式は、海外を含む他社との事業連携(アライアンス)を行って、アライアンス先との「Win/Win」関係を構築維持していく経営手法です。
今後、日立が集中と選択作業を終了して、欧米企業との競争に打ち勝つために、どのような経営手法を採用していくのかについても注目していきます。
日立は、国内を代表とする企業の一つとして、欧米市場で勝ち組になることを期待します。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
- (神奈川県 / 経営コンサルタント)
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上
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