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「過剰品質」「過剰サービス」と言われるもので思うこと

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え

 ファミリーレストランやコンビニで、24時間営業をやめる動きが出始めてから結構時間が経ちました。百貨店やスーパーなども含めて、さまざまなサービス系の業種で定休日の復活、早朝や深夜の時短が進みつつあります。

 

 24時間営業をやめる理由はいくつかあるようですが、最も大きいのは人手不足で賃金が上がり、深夜営業での売上がコストに見合わなくなってきていることのようです。

 さらに、無理な営業時間は従業員に長時間労働を強いること、生活習慣の変化で深夜の利用客自体が減っていることなども挙げられています。

 これらに関連する記事を読んでいる中で、過剰なサービスが働く側でもある自分たちの首を絞めているように思えるものをいくつか目にしました。

 

 例えば、宅配便の無料の再配達や、細かな時間指定のサービスなどは、便利なことには間違いないものの、配達する側の人たちには多くの負担を強いることになっています。

 さらに、指定した時間なのに在宅していなかったり、ドライバーへの直通電話を使って「今すぐ届けろ」などと無理強いをしたり、わがままの度合いが増していることがあるそうです。こういう負担は、直接顧客に接する末端の社員たちばかりにしわ寄せが行きます。

 

 インターネットの飲食店情報サイトの普及で、お店などの検索や予約は便利になったものの、ドタキャンのような話も増えています。キャンセル料も取れずにお店側の負担となることがほとんどですが、そのマイナスは結局お店で働く人たちの生活に及びます。

 

 私が新卒採用の説明会予約で経験したことですが、あっという間に予約が埋まって満席なのに、直前のドタキャンで参加者は定員の半分くらいしかいなかったことがありました。

 とりあえず予約をキープして、直前に行くか行かないかの判断をするのでしょうが、これは会社側の担当者が振り回されるだけでなく、参加したかった他の学生から権利を奪っていることになります。周りにいる仲間の“誰か”を困らせているかもしれません。

 

 以前、商品の過剰包装が問題になったことがありました。その当時ほどではないにしろ、最近はコロナによる衛生上の問題もあり、野菜や果物が細かく袋づめされていたり、パン屋さんでは商品を一つ一つビニール袋に入れたりしています。今の時期はやむを得ないのかもしれませんが、それ以前の様子を日本と他の国で比べたりすると、日本人は潔癖すぎるのか、少しやり過ぎの感じは否めません。

 

 消費者として安価で良質なものを求めるのは当然ですが、働く側からすれば、自分たちの扱う商品やサービスは、できるだけ高く売れるに越したことはありません。

 そこには「適正価格」があるはずですが、物やサービスが売れづらくなっている中で価格は下がり、働く人の報酬には当然マイナス方向に作用します。

 このように、物を売る側と買う側、サービスを提供する側とされる側、みんな裏と表でつながっています。「過剰品質」「過剰サービス」も、消費者には便利な一方、働く側の自分たちを苦しめている側面があります。

 

 24時間営業の見直しは、人手不足から始まった経済合理性に基づくものかもしれませんが、サービスを受ける側と提供する側のバランスを取ろうという動きが出ていることを、私は肯定的に捉えています。「過剰品質」「過剰サービス」をなくせば、その裏にある「過重労働」もなくすことができます。

 

 品質が良いのに安いもの、価格以上の良好なサービスは、必ずそれを提供する誰かが負担をかぶっています。そのことを放置し続ける会社は、いつの間にか「自社で働いてくれる人が誰もいなくなっていた」などということになりかねません。

 品質とサービスには、正当な対価が必要です。

 

 

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