円高は終わったのか・・・
為替は大きな変化が見られた。これまで、円はドルやユーロに比べて安全な通貨として独歩高となっていた。しかし、2月17日を境に、それまで90円前後で推移していたドル円が100円を目指す動きになってきている。
なぜ2月17日にこのような変化が起こったのであろうか。17日その日は、世界の目が注目するG20後の記者会見で失態を演じた中川財務相が辞任した日である。あの日は日本の恥を世界にさらしてしまったと誰もが感じたのだろう。それが、いままでの円の安全神話を一気に叩き潰してしまったのである。というと全ては政治の責任となってしまうのだが、冷静に考えるともう一つ大きな要因がある。それは、前日の16日に発表されたGDPの数字が▲12.7%とい余りにもショッキングな数字となってしまったことが大きな要因である。この二つの出来事が、日本は本当に安全なのかとマーケット関係者から疑問が起こったのである。
これを示すもう一つの指標として、日本国債のCDSスプレッド(これまで世界金融危機に関係するレポートで説明しきたあのクレジット・デフォルト・スワップ−信用度を測る指標)であるが、17日を境にそれまでの80ポイントから120ポイントまで一気に広がってしまっている。
このように日本への不信感⇒円売りが起こり、それまでに溜まっていた円の買いポジションを閉じる結果として一気に円安基調に変化していったのである。
これまで「株安=円高」であったものが、「株安=円安」に変化した。これも日本売りの一つの現れである。
こうした日本売りは、皮肉にも輸出企業にとっては、収益的に大きくプラスに寄与している。
ただ、このまま100円を超える円安になるとは考えられない。この10円の動きはそれまでのポジション調整という感が強く、ポジションの偏りがなくなった今、日米欧の3拠点における景気対策とその効果を見極めていく相場になっていくものと思われる。
円高はまだ終わっていないと見る方が正解では・・・