- 野村佳代
- 出版/広告プロデュース〜企画・ライティングからデザイン・印刷まで 株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役
- ライター
日本語はあいまいだからこそ
1つの文法をしっかり守る
主語と述語のねじれとは
文章を書く際に、最低限、守らなければならない文法ルールは、主語と述語を一致させることです。
そんな当たり前のことを言うな、と思われるかもしれません。
しかし、実は「主語と述語を一致させる」という、たった一つのルールさえ守れば、文章は格段にわかりやすくなるのです。
主語と述語は、たとえば「私が行く」という短い文章の中にも出てきます。
「私が(主語)」と、「行く(述語)」です。
主語も述語も、すっきり、はっきりしています。
それでは、次の文章を読んでみてください。
私は彼を花粉症だと知っているので、春が苦手です。
非常にわかりづらい文章です。
春が嫌いなのは私なのか、彼なのかがはっきりしません。
まさに、主語と述語が不明確なのです。
このような現象を、「文章がねじれている」と表現することがあります。
文章がこんがらがっている(=ねじれている)ため、主語と述語の関係がわからなくなっているのです。
このように、文章にねじれが起きやすいのは、「2文以上ある文章を1つにつなげている」ときです。そのため、主語と述語をすっきりさせるためには、1文ずつに区切ってみる方法があります。
●主語と述語を一致させる
私は、彼が花粉症だと知っています。彼は春が苦手です。
これなら、主語と述語がわかりやすくなったのではないでしょうか。
意味もすんなり通ります。
ここで、一つテクニックを紹介しましょう。
前の文章は、わかりやすいことは間違いありませんが、少し幼稚な印象を与えることもあります。
これが日本語の特徴です。
英語は、文章に必ず主語と述語があるのですが、日本語の場合、主語がなくても意味が通じることがあるのです。
また、「わかること」を省く傾向もあります。
と言っても、難しく考える必要はありません。
私たちは、日常生活でこのテクニックをすでに使っています。
●わかることは省く
彼は花粉症なので、春が苦手だそうです。
ここに、前に出てきた「私は」「知っています」という文章は出てきません。
しかし、最後に「だそうです」と使うことで、彼から聞いて知っていることが相手に伝わります。
次はどうでしょうか。
春は花粉症の季節なので、彼は春が苦手です。
これだけでも、彼が花粉症であることが伝わります。
この文章で伝えるべきことは、「彼が花粉症である」ことと、「春が苦手である」ことなので、これだけでも十分なのです。
次回は、読みやすい文章を書くコツを紹介します。