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死刑宣告者の心構え(その2)−死刑の根拠

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 殺人があったとき、どの時代どの場所であっても、人々の間に恐怖や不信感が波紋のように拡がります。これを放置すれば、暴力が暴力を呼ぶ事態となります。そこで、これを収拾して、社会構成員相互間の信頼関係を回復する措置が必要になります。
 歴史的にみると、古代においては、生贄という呪術により暴力を転化しました。やがて、決闘、仇討ちという作法を定めた儀式により、復讐を制度的に制限しようと試みます。そして現代においては、国家による法体系、具体的には警察と司法制度によって、犯人に刑罰を科し、国民を保護することになります。暴力の正当性の契機は国家に独占されることになります。その際、裁判は、民主制の要となります。裁判は、裁判官、検察官、弁護士によって運営されます。
 呪術、儀式、裁判によって、人々は、再び、本来の通常の仕事や生活に復帰することができるようになるのです。
 現代における死刑は、歴史的に洞察すれば、その背後には、被害者・遺族による復讐の儀式や、暴力が治まるようにと祈る呪術が、折り重なっているのです。
 したがって、死刑判決を言い渡す者に要求される心構えは、次のようになるはずです。すなわち、いったん明鏡止水の心境になって証拠を吟味し、本当に被告人の犯行であり、今・この国において被害に見合った必要な刑罰であるとの判断に至れば、果敢に刑の宣告をすることを要し、かつそれで足ります。被告人の犯行だとの判断に至らなければ、無罪を言い渡すだけですし、そうしなければなりません。その後の気持ちの揺らぎは有害無益です。そのあと彼に残されているのは、ただ、祈ること。この決断により暴力が終わりますように、との祈りだけが死刑宣告者の心の隙間を埋めることができるのです。

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