- 阿妻 靖史
- パーソナルコーチ
対象:コーチング
解決志向型の恋愛・結婚生活には欠かすことのできないコミュニケーション法です。
お互い楽しいことをしているときは、大抵誰でも機嫌がよいものです。
しかし、生活していると相手に苦情を言わなければならなかったり、要求をしなければならない場面が必ずあります。そのたびごとに喧嘩になったり、我慢をして不満を募らせているのでは恋愛も結婚生活も長続きしません。そのための方法がアイメッセージとアクショントークなのです。
アイ・メッセージ
アイメッセージとは、自分がどういう気持ちなのかを正直に相手に伝える方法です。''私(英語でアイ)''がどう感じるかを言うので、アイ・メッセージといいます。相手のことを分析・批評する(ユー・メッセージ)と関係を悪化させるので要注意です。
アクション・トーク
アクショントークとは、相手を傷つけずに要求を伝えたり、苦情を言う方法で、相手の行動のみに言及することからアクション(行動)トークといいます。
では、この二つを使って、どのようにコミュニケーションがするとよいのか具体例を挙げます。
こんな状況を想定します。
「旦那さんが、日曜日によく家でごろごろしていて、奥さんは一緒に買い物に行きたい。」
×悪い例(アイメッセージ、アクショントークを使っていない)
「あなたって、仕事人間で、家のことは何もやってくれないのね。」
(ユー・メッセージ。相手を上から評価している。「何もやってくれない」は明らかに言い過ぎ。)
「たまには買い物に行くのだって夫として当然でしょ?」
(「義務」にすれば、自分はあとでお礼を言わずにすむが、相手は奪い取られた気持ちになる)
「○○さん家の旦那さんはいつも買い物に一緒に行ってくれるって。」
(これも義務と同じ。要するに「正しさ」を主張して相手をコントロールしようとするやりかた)
「このまま家のことを何もしてくれないのなら、将来離婚するかもね。」
(ネガティブな将来をイメージさせる言い方。言霊をあなどるなかれ。
言った言葉は実現します。言葉は慎重に!)
○よい例(アイ・メッセージ、アクション・トークを使っている)
「あなた、今月はまだ一回も一緒に買い物に行けてないね。」
(苦情のアクション・トーク(買い物に行ってくれなかったという「行動」のみに言及)。しかも、
回数などが具体的で、客観的。)
「一緒に買い物に行くのが楽しみなのに、行けなくて淋しいし、最近イライラする。」
(アイ・メッセージ。自分の感情を正直に表現する。
但し怒ったり泣いたりして相手を責めるのは逆効果)
「だから、隔週でいいから一緒に買い物に行こう?」
(要求のアクション・トーク(具体的に相手にしてほしい行動とその頻度まで言う))
「そうしたら、私は気持ちが楽になるし、『おかえり』を言うときももっと優しい笑顔で言えるから。」
(ポジティブな将来をイメージさせる言い方。相手もこれで結果をイメージしやすくなる。)
アイメッセージを実際に使おうとすると、お願いすることに色々抵抗が出てくると思います。
「当然でしょ?」「○○さん家の・・・」という伝え方の方が、お願いする側は、心の負担が少ないかもしれません。自分が正しいという「安全地帯」に入れますから。(その分相手を苦しい場所に追い込むことになっているのですが。)
でも、本来人間関係では、相手は変えられません。相手にはお願いができるだけなのです。これは、相手がどんなに問題行動を起こしている場合でも同じです。相手の行動を変えてほしい場合は、あくまでお願いするという態度で接することが大事です。
その時に、アイメッセージとアクショントークが役立ちます。
心理学の本は、英語を和訳した本が多いので、アイメッセージの例文は、「私は○○と感じている」みたいな日本語として不自然な文が載っていたりしますが、日本語では通常「私は」は省略されていますから、日本語の「アイメッセージ」は、「悲しかった」「寂しかった」など、自分の感情のみを表した文になります。
このように、アイメッセージとアクショントークを上手に使えば、相手に苦情や要求を伝えるのが上手になります。すると、問題があっても話し合えば大丈夫という自信が生まれます。
問題が起こらないことを空しく祈り続けたり、問題が起きていないと思うために問題から目を背け続けたりするより、問題が起きてもアイ・メッセージとアクション・トークを中心とした話し合いによってお互いに理解し合い、解決することができる方がよほど安定したカップルといえましょう。
アイ・メッセージと''アクション・トーク''。
ぜひ、使ってみてください。
最後に忠告です。相手がアイメッセージとアクショントーク形式の「お願い」を聞いてくれるかどうかは、相手があなたに対してどれだけ愛情を持っているかにかかっています。相手が、人を本当に愛する段階まで成長していない人だったり、あなたが依存しすぎていて、相手の方が既にうんざりしているような場合、要求をする前に、相手の話を聴き、信頼関係を作り直すところからとり組む必要があります。