- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
日経記事;『パナソニック、成功のカギは仲間づくり 米ソフト買収で』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
4月25日付の日経新聞に、『パナソニック、成功のカギは仲間づくり 米ソフト買収で』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『パナソニックが米ブルーヨンダーを71億㌦(約7700億円)で買収することで合意した。サプライチェーン・マネジメント(SCM)システムで業界トップを走るブルーヨンダーの買収で、売り切り型の製造業モデルから転換できるかが試される。独自のIoT基盤「ルマーダ」で成功している日立製作所など先例を見ると、提供するサービスの「仲間づくり」の重要性が見えてくる。。。』
パナソニックは、4月23日にブルーヨンダー(Blue Yonder)の全株式取得について発表しました。私は、パナソニックが用意しました下記説明会資料を読みました。https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/blue_yonder_j.pdf
正直言いまして、私はパナソニックの説明会資料を読んでも、パナソニックがブルーヨンダーの買収後に、どのような形で事業展開するのか明確に理解できません。
一般的に、M&Aを行う目的の一つに、買収企業側が新規事業を一気に立ち上げることがあります。今回の場合、パナソニックはブルーヨンダー買収により、SCM(Supply Chain Management, サプライチェーン・マネジメント)のビジネスを新規にもつことになります。
パナソニックは電気機器メーカーですので、SCMのソフトウェアビジネスを事業領域の一つに加えることで、収益の拡大を実現できます。パナソニックは、ハードウェアビジネスとソフトウェアビジネスの両輪をもつことになります。パナソニックの買収目的が単にこれだけの理由であれば、この状況はシンプルです。
パナソニックは、以前にソニーと並ぶ日本の代表的な家電機器メーカーでした。パナソニック、ソニーなどの家電機器メーカーは、マイクロソフトやアップルなどの米大手IT企業や、中国、台湾、韓国などのメーカーとの競争に負けました。国内企業がこれらの海外企業に負けた要因は、商品の企画力・開発力、コスト競争力の分野で劣っていたことにあります。
ソニーは、何度か苦しみながら事業の撤退、売却などを行って、音楽、映画、ゲームなどの非ハードウェアビジネスでプラットフォーマーになることを指向、実現できした。また、CMOSセンサーデバイスも、ハードウェアではありあますが、スマートフォンなどを支えるプラット事業になります。
ソニーが目指したのは、音楽、映画、ゲームなどの分野でプラットフォーマーになり、売り切り型ではなく継続的に課金ができるビジネスモデルです。
パナソニックの発表資料によると、「ブルーヨンダーのSCMを獲得し、当社インダストリアルエンジニアリング、エッジデバイス、IoTと融合、CyberとPhysicalをつなげることで、お客様の課題解決に貢献」と書いてあります。
つまり、パナソニックはブルーヨンダーのサービスと自社の技術やノウハウを一体化させて、ソリューション提供ができるプラットフォーマーになることを目指すようです。
もしパナソニックがソリューション提供をできるプラットフォーマーになることを意図するならば、ハードウェアビジネスで培ったノウハウや考え方を、いったん横において事業展開する必要があります。いわゆるオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)のやり方で、パートナー探しを行うことになります。
自動車業界で、このオープンイノベーションを積極的に行っているのが、トヨタ自動車です。トヨタは、100年に1度の大変革期にあるという危機意識から、数年前からデジタル化への対応やオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を積極的に行っています。
オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を実現するには、事前に周到な準備と企業文化を変える必要があります。
国内の製造業は、自動車産業に代表されるように今まで強みの源泉を商品企画、開発、設計、製造、販売までの全工程を自社内で行う、一気通貫型のビジネスモデルを採用してきました。一気通貫型のビジネスモデルは、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)のビジネスモデルとは真逆になります。
ここにトヨタの苦しみがありました。しかし、トヨタはトップ主導でオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を進めています。トヨタのトップは、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を実現しないと、自社は滅びると確信しているからです。
パナソニックが、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を行って、プラットフォーマーになり、継続的に課金ができるビジネスモデルを真に構築するのであれば相当な覚悟が必要になります。
また、ブルーヨンダーはIT企業ですので、この企業の財産はソフトウェアエンジニアです。パナソニックがブルーヨンダーの買収後、ブルーヨンダーの自治を最大限認めて、上手く組織間の融合を実現することが極めて重要であり必要になります。
私は、上記の視点からブルーヨンダー買収後のパナソニックの事業展開のやり方に注目して行きます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
- (神奈川県 / 経営コンサルタント)
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上
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