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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月18日更新

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居宅介護支援事業所の「特定事業所加算」について

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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


今回は、居宅介護支援事業所における「特定事業所加算」について取り上げたいと思います。


以前のコラムでも再三にわたり取り上げておりますが、居宅介護支援事業は介護経営における収支差率が、サービスが唯一マイナスであります。

基本、儲からない。

儲からないというと多少語弊がありますが、普通の事業をやっていて、事業継続に必要な利益が上がらないというのは、どう考えても異常です。


居宅介護支援事業で利益を上げようと思ったら、特定事業所加算を算定する以外にない。

しかし、多くの事業所にとっては非常にハードルが高いので、今回介護給付費分科会で議論されている。

ということで、今回再度取り上げることといたしました。


特定事業所加算は、質の高いケアマネジメントを行うことを促す意味で創設されました。

良質なサービスを提供している事業所に対し評価する、いわゆるインセンティブです。


加算は3種類(厳密には4種類ありますが、加算Ⅳはここでは触れません)あります。

加算Ⅰ 500単位/月・人 加算Ⅱ 400単位/月・人 加算Ⅲ 300単位/月・人

となります。


特定事業所加算を算定する事業所は、最低でもケアマネが3名(主任1 ケアマネ2)以上いるはずですので、ご利用者様も100名位は最低でもいると思います。

仮に要介護のご利用者様が事業所で100名いて、加算Ⅰを算定する事業所である場合、加算報酬は500単位×100名=50,000単位。

ということは約50万円以上は計上できるということ。

これはかなり少なく見積もっているので、実際はもっと多いのではないでしょうか。


さすがに、加算Ⅰと取得すれば利益は出ると思います。

しかし、実際の取得率はわずか1.05%とのこと。


加算Ⅱでも17.43%、加算Ⅲも10.69%。全体の取得率が3割にも満たない。

この原因は、ハードルが高すぎるからだと思います。


分科会でも、この件については議論されていて、業界団体の提言や厚労省のデータでも、取得率が低い理由について触れられています。


加算Ⅰの場合、「主任ケアマネ2名以上+ケアマネ3名以上」という条件があります。

これは、ある程度の規模の事業所でないと厳しい。


また、「要介護3以上の利用者が40%以上いる」ことも条件にあります。

これを条件の一つにしているのも、意味がよくわかりません。


事業所は、「提供拒否の禁止」という法令上の基準に基づき、基本的には利用者を選べない形になっております。

にもかかわらず、重度高齢者を一定以上受けることを要件にしてしまうと、事業所が利用者を選別する仕組みが出来てしまうことになります。

「サービス提供拒否の禁止」とは、介護保険法にも、各サービスの運営基準(省令)にも定められております。ですので、加算を算定する理由で申し込み依頼を拒否するというのは、矛盾が生じてしまうことになるのです。


私は、少なくとも「重度者割合40%以上」という要件を設けることに、意味はないと思います。

ですので、これは撤廃すべきです。

事業所が「サービス提供拒否の禁止」条項を忠実に守っていただければ、重度者受け入れ割合を設ける必要はないはずです。


分科会では。「多様な生活支援を視野に入れたケアプランの作成」について、加算算定の要件に追加する等、見直しを検討しているようです。


今回、居宅については基本報酬をプラスしたり、予防支援報酬の増額、支援に結び付かなかったケースについて条件付きで評価(報酬)する等、抜本的にも直される見通しです。


これは、ケアマネさんに更なる重要な役割を担っていただくという期待や、反面居宅支援事業の収支差率がマイナスになり続けていることを考慮すれば、当然の帰結です。


ケアマネ不足は、今後深刻さを増してくることが予想されています。

もしかしたら、今後ICTやAIが進んでくれば、ケアマネを介さずにケアマネジメントを実行させようと、国は考えているのかもしれません。


未来のことを語っても、それは予測にすぎません。

しかし、現在、そして近い将来を見据えた場合、この居宅支援事業の状況ではとても成り立たない。


今回は、居宅にとってはかなり大きな動きが出てくるでしょう。





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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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