- 鈴木 克彦
- 株式会社マクス 代表取締役
- 建築家
対象:住宅設計・構造
この家は、次世代パッシブソーラー「そよ風」を搭載し、構造材は厳選された紀州の杉と桧で組み上げた、こだわりの木の家です。
お客様と紀州の山にまで出向き、工場の見学をした所から始まり、
左官の漆喰塗り、
七宝の引き手作りなど、
お客様と一緒に造り上げた、手造りの自然素材の家です。
見学会の詳細はこちらです。
さて、今回は、蓄熱暖房機のお話。
見学会でソーラーの暖かさを体感して下さい!
と言ってはみても、実は曇ったら体感出来ません。
実際に生活を始めてからも、曇りや雨の日は当然あるので、もちろんその対策はしてあります。
その対策が写真。
寒い地方では定番の電気式蓄熱暖房機です。
簡単にご説明すると、中にレンガのような物が入っており、それを深夜電力で「焼く」というか、高温にして熱し、熱を蓄える(蓄熱)するわけです。
熱している最中ももちろん暖かいですが、日中、このレンガ上の物から、もわ〜んと放熱します。
パッシブソーラーの補助的な位置付けのため、一番小さいタイプの暖房機で、電気代も、一日(のうち夜間の蓄電の意味)100円弱くらいです。
でも、最大の弱点は、温度調整。
例えば、夜間蓄熱する(その時に電気を食う)。
↓
翌日日中放熱(この時点では電気は使わない)。
※効率よく放熱するためファンが回ると、少し電気を使う
↓
思いがけず快晴で暖かな日だった。
↓
蓄熱暖房機は、何食わぬ顔で放熱を続ける。
↓
熱かったら窓を開けるしかない。
となります。
つまり、天気予報で翌日はあったかそうだ、
屋根のソーラーもバッチリ集熱してくれそうだ、
となったら、スイッチ切っとかないといけないです。
もちろん、全く温度調整が出来ないわけではありません。
深夜電力を利用して、電気代が日中の1/3程の深夜電力で、機器の内部のレンガ状の物を熱して蓄熱するのですが、この蓄熱量は調整出来ます。
翌日が寒そうだったら目一杯蓄熱、そうでもなさそうだったら少しだけ蓄熱、そういった調整は可能です。
ですが、夜間の蓄熱で、翌日の日中を賄うので、前日のこの見極めが、やはり必要になります。
もちろん、日中も、電気温水器で言えば「追い炊き」のように、加熱することも出来るのですが、その場合は、当然電気代が高くなります。
また、日中も、自然の放熱に任せるのか、ファンを強制的に回して放熱量を増やすかによって、電気代も、変わってきますので、目一杯フル運転すれば、一日200円くらいかかる場合もあります。
でも、以前ご紹介したのですが、この家では、断熱性がとても高い、
『現場吹きつけの発泡ウレタン』(施工風景はこちら)で屋根・壁をすっぽり断熱していますので、熱の逃げ場が非常に少なく、小さな蓄熱暖房機一台で、60坪近いこの家全てをかなり暖めてくれます。
ソーラーシステムは、屋根の空気を床下に送って、それが室内に吹き出す構造のため、床下に潜って、掃除機を掛けたのですが、この寒い時期でも、床下が寒くないのは驚きです。
(その時の風景は、ブログのこちらのページで)
写真は、床のワックス掛け風景ですが、長時間こうして床に張り付いていても寒いどころか、作業で体が暑いくらい。
ちなみに、写真は無垢の桧の床板に、米ぬかワックスを掛けているところです。
この米ぬかワックスは、自然素材100%で、赤ちゃんが嘗めても安心なワックスです。
当然作業時にも施工後も嫌な臭いなども一切ありません。
こうして、快適で安全な家が出来上がります。
尚、次世代パッシブソーラー【そよ風】システムについては、こちらをご覧下さい。
施工:株式会社マクス