会社では、さすがに給与まではないと思いますが、人事評価や営業成績などの公開を行っているという所はたくさんあると思います。
このようなやり方には感情な捉え方もありますので、その是非にはいろいろ議論はあると思いますが、少なくとも何らかの効果を得ようとするならば、その目的が「ただの魔女狩り(プレッシャーをかける)」というだけになっていないかを考える必要があると思います。「あまり良くない成績をみんなに見せられた時、果たしてその人はやる気になるのだろうか」、また「あの人はダメだと言うレッテル貼りにならないか」などということです。
取り上げ方、活用の仕方、演出の仕方に注意して行えば、お互いを認め合い、成果を賞賛する文化になり、組織の一体化につながります。使い方を誤ると、全く逆の方向に進んでしまいます。
ある会社では定期的に「評価できる行動をした人」を社員同士で投票し、これをみんなの前で発表して表彰しているそうです。選ぶ理由は「笑顔が良い」でも「おごってもらった」でも「いつも早起き」でも何でも良いそうですが、選ばれた人はみんなに認められたことで、うれし涙を流すようなこともあるそうです。このようなうまいやり方ができれば、組織上のいろいろな面で良い効果を得られるのではないかと思います。
ちなみに前述の市長は、「比較的高待遇の職員も多く、市の将来は人件費を適正化できるかどうかにかかっているので、問題提起した」ということのようです。
ただ職員からすれば、給与は自分たちで決めている訳ではなく、給与が高いのはそういう制度が問題なのだと思うのですが、給与額を公開して非難の矛先を職員たちに向けるようなやり方は、組織内の信頼関係で考えるとあまり好ましいとはいえないように思いました。働く場として今後どうなっていってしまうのか、とても心配な気がします。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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