会計士による粉飾黙認、見返りにわいろ? - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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会計士による粉飾黙認、見返りにわいろ?

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雑感 業務その他
26日0時30分時事通信社ネット記事はこう報じた。

電子部品装置の開発・製造を手掛け、ジャスダックに上場していた
「プロデュース」(新潟県長岡市、民事再生手続き中)の粉飾決算事件で、
決算監査を担当した公認会計士(39)が、有価証券報告書に記載された
金額を超える監査報酬を受け取っていた疑いがあることが25日、
関係者の話で分かった。
粉飾決算を黙認する見返りだった可能性があるという。

会社法は、公認会計士が監査業務で不正を働くよう依頼を受け、
金品を受け取るなどした場合、収賄罪に当たると規定している。

証券取引等監視委員会は昨年9月、金融商品取引法(有価証券報告書の
虚偽記載)容疑で、同社や会計士が所属した東京都千代田区の監査法人
などを家宅捜索。
会計士らから事情を聴くなどして調査を進めている。 


その手口について、27日12時新潟日報ネット記事はこう報じる。

電子部品製造装置メーカー「プロデュース」(長岡市、民事再生手続き中)
が行っていた粉飾決算の手口が26日、関係者の話で分かった。
取引先企業と互いに受発注の役割を入れ替え、架空取引を繰り返し、
売り上げや利益を何倍にも膨らませていた。
関与したのは十数社にも上っていた。
証券取引等監視委員会も既にこうした手口を把握し、金融商品取引法違反の
疑いでさいたま地検に告発する方針で、詰めの調査を進めている。

関係者によると、同社は実在する取引を基に、取引企業間で互いに
発注や受注などの役割を入れ替えた架空取引をつくり出し、売上高を
水増ししていた。
基の取引自体がない場合もあった。

また、複数の企業間で架空の製品転売を繰り返し、その都度売り上げや利益を計上。
これらの方法を複雑に組み合わせ、粉飾を繰り返していた。

関与した会社にはプロデュース側から話を持ちかけていた。
架空取引を記した「裏帳簿」は作らず、架空取引による売り上げと、
実際の売り上げを同じシステムで管理していた。
このため、粉飾の実態が分かりづらくなったという。

プロデュースは株価を上げるため、市場の評価基準となる売上高が
伸びるように粉飾したとみられる。

これまでの監視委の調査などによると、同社は2007年6月期決算で、
約97億円の売上高のうち約60億円が水増しだった疑いがある。

同社は虚偽の有価証券報告書を関東財務局(さいたま市)に提出した
金商法違反容疑で昨年9月、監視委の強制調査を受けた。




会計のプロフェッショナルとして国家から資格を付与された公認会計士が
会社の粉飾の共犯だった可能性が出てきている。

株式投資の自己責任を担保するための唯一のものが公認会計士による
監査証明であるが、その監査自体が不正に行われているとしたら、
投資の自己責任を果たせる可能性は限りなくゼロに近づく。

それだけ、プロフェッショナルとしての公認会計士の果たす役割は大きく、
責任も同時の重いはずであるが、公認会計士が関与する不正事件も多い。

収賄罪が成立すれば、この会計士の資格は当然剥奪。
前科1犯として戸籍にも記載されることになる。

プロデュース(以下、プ社)の手口は周到である。
それを会計士が故意に見逃しているのであれば、それこそ専門家責任は
免れるものではない。
専門家が関与することになれば、他の同業者の信用も含めて、
失墜することになるのだ。

関与したとされる会計士には、専門家としての矜持がなかったのか。
それとも、そもそも実力不足の者だったのか。

後者であればそれこそ問題である。

継続研修の強化がより一層求められるところであろう。

隣接する専門家として非常に残念な事件である。