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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月19日更新

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~医療ニーズへの対応~地域包括ケアシステムを推進するために⑤

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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


今回は、地域包括ケアシステムを推進していく上で欠かせない「医療ニーズへの対応」について、特定施設入居者生活介護(以下「介護付き有料老人ホーム」)を事例に取り上げたいと思います。


特別養護老人ホーム(以下「特養」)の入所待機者は、ピーク時で約52万人いましたが、現在はだいぶ減ってきているようです。


これは、特養の整備が各地域で進んできていることも要因だとは思いますが、私はそれだけではないと思っております。


理由は2つあります。

一つは、在宅サービスの充実です。


2006年から、(看護)小規模多機能型居宅介護サービスが導入され、「通い」「訪問」「泊り」の3サービスがセットになったサービス事業所が、日常生活圏域に1ヶ所程度整備されてきています。

私もいくつか(看護)小規模多機能型サービスと関わったことがありますが、運営はとても大変です。

制度上の問題(このサービスを利用する場合は、それまで担当していたケアマネさんがプランを担えなくなり、当該事業所のケアマネさんに変更となる等)はありますが、サービス理念については大変すばらしいと思います。

区分限度支給限度額を気にすることなく、包括的(業界では「マルメ」といいます)にサービスが使えますので、それこそ5分程度の安否確認による訪問も問題なく対応できるわけです。


小規模多機能以外にも、訪問介護や訪問看護、デイサービス等いろいろあり、そういう方々のお力添えで何とか在宅生活が維持されている高齢者の方、たくさんいらっしゃいます。


しかしそれでも、諸々の事情でそれがかなわない方もいらっしゃるのは事実です。

そういう方の多くが、特養への入所を希望され申し込みをしますが、数百人待ち・数年待ちという状況がしばらく続いてきたのです。


この「特養待機者」の受け皿となったのが、介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」)と呼ばれる民間の住まい(施設)です。


私は過去に、有料老人ホームの施設長を数年間担っておりました。

小規模の施設ではありましたが、入居者様のニーズは多様で、お一人おひとりへの対応をすることに対し、大変頭を悩ませてまいりました。頑張ってサービスを提供してきたつもりですが、それでも十分とは言えなかったかもしれません。


特に頭を悩ませていたのが「医療ニーズへの対応」でした。


現在、介護付き有料老人ホーム等もかなり飽和に近い状況となっております。高齢者は増え続けているのは事実ですが、供給面ではだいぶ充実してきており、各施設とも入居率を上げることに必死です。私もそうでした。経営が成り立たなければ、スタッフさんに給料を払っていけませんし、すべてはきれいごとで片付けられてしまいますので・・・


ですので、どの施設でも様々な特色を打ち出し、入居案内に余念がありません。


先に触れた「医療ニーズへの対応」については、それが顕著に表れております。

数年前なら考えられないような(本来なら病院でないと対応できないような)医療行為の必要な高齢者様を、積極的に受け入れる施設が増えてきているのです。

24時間の看護師配置を抱える施設も、今ではそれほど珍しくはなくなりました。地域の訪問診療クリニックと連携して、急変しても医師が駆けつける体制を構築され、よほどの重篤にならない限りは何とか施設内で対応できるように体制を整えている施設、本当に増えてきました。


間違いなく、時代の趨勢だと思っております。

私が施設長をしていたときには、とても考えられなかったことであります。


2018年の介護報酬改定において、上記のような対応をする施設を評価する目的で、加算が新設されております。

例えば、たんの吸引等のケアを実施する施設や、医療機関を退院後に入居受け入れした入居者に対して、当該医療機関と連携をした施設を評価するために「入居継続支援加算(36単位/日)」「退院・退所時連携加算(30単位/日。入居後30日間に限定)」が算定できるようになっております。


これまでは、医療ニーズの高い入居者に対しては、介護報酬上の評価がほとんどない状態でしたが、これでいくらかは施設にとって実入りがよくなります。1日約400円、月12000円程度でも、無いよりはよほどマシです。


しかし、問題はまだあります。

それは、「看取り」への対応です。


国は、病院で最期を迎える方を極力減らしたいと考えています。皆様の中でも、病院で亡くなるよりも住み慣れた自宅で最期を迎えたいとお考えの方は少なくないと思います。


しかし、在宅や施設で看取るというのは、簡単にはいきません。多職種で綿密に連携を図り、不安なご家族と寄り添い、お亡くなりになった後にご家族に納得していただけるようにするのは、並大抵のことではありません。

どんなに献身的に介護看護をしても、いざ最期を迎えた際に「これでよかったのか」「もっとできることがあったのではないか」と悔やむ方もいらっしゃいます。私も、父を16年前に亡くしましたが、同じようなことを兄弟間でも思っていた位です。


看取りというのは、尊い反面非常に大変なことです。


介護報酬でも、その部分に対しては加算を新設して評価はしています。

しかし、加算の取得率は極めて低いのが実情です。


仕事柄、数多くの介護施設の関係者と話をする機会がありますが、施設で看取りを経験された方のほとんどが「大変だったけど良い経験になった」「ご家族に感謝の言葉をいただき、涙が出るほどうれしかった」とおっしゃいます。


介護サービスに従事される方にとって、看取りへの対応は絶大なる経験値を積むことが可能です。

しかし、残念ながら人員不足もあり、積極的には推進できない現状があります。


2040年時代に突入する中、お亡くなりになる方は出生する数よりも遥かに増えていきます。

世代も移り変わり、人間の生活スタイルや考え方は多様化し、介護に関することも同様です。


20年前の介護のやり方の中には、旧態依然としていて通用しなくなりつつあるものもあります。

今後はもっとそれが増えていくでしょう。


介護を担う方々(私も含め)の考え方を、パラダイムシフトしていく必要性に迫られています。

それと同時に、介護サービスの根幹を支える介護保険制度も、それに見合った設計をしていく必要があります。また同時に、介護保険制度によらない新たなサービスの構築も重要です。


このトピックは今回で終了し、次回以降は「介護保険サービスによらないサービス」についてコラムを書きたいと思います。

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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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