オバマ大統領にとっては最初の大きなハードルをクリアした形で、今後は対策が景気てこ入れにどの程度の効果があるかが問われることになりそうだ。
求められる実行力
上下両院で合意した修正法案は、全体の約35%を所得税などの減税分が占める。勤労者世帯への1人500ドル、夫婦で1000ドルの所得税還付による減税や、投資促進に向けた企業減税などが含まれている。
また、今後2年間で約350万人の雇用創出を目標に公共投資などの歳出増を盛り込んだ。太陽光や風力など代替エネルギー分野への投資に加え、橋や道路などインフラ整備や学校の近代化などに重点的に投資するほか、各州財政への補助も含まれている。米メディアによると、修正案では州政府への財政支援のうち医療保険分野を減額し、代わりにオバマ大統領が重視する教育分野への歳出を増やしたという。
公共事業で米国製品の調達を義務付ける「バイアメリカン条項」は、上院の修正案に沿う形で「国際合意に反しない形で適用する」との一文が盛り込まれる見通しとなった。ただ、下院案で鉄鋼製品に限られていた対象は全工業製品に拡大、保護貿易への懸念は残りそうだ。
オバマ大統領は「早期に行動しなければ、経済危機は米国民にとって大惨事になる」と米景気の現状への危機感を繰り返し表明、議会に法案の早期成立を求めてきたが漸く実現した。
しかし、まだクリアしなければならないハードルは、これ以上に高いものである。金融安定化法案とビック3への対応策である。ここ1ヶ月の間に具体策が打ち出されるが、その動向によっては今後の経済情勢もマーケットも大きく動く可能性があり十分注意を要する。