為替マーケット09年2月号 - ライフプラン・生涯設計 - 専門家プロファイル

山本 俊樹
インテグリティ株式会社 
ファイナンシャルプランナー

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為替マーケット09年2月号

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やさしい経済の話し 為替マーケット

ドル円現状維持、ユーロ円はもう一段の円高に


今年に入ってからの為替マーケットは比較的落ち着いているかのような気にさせる。事実、ドル円、ユーロ円ともに変動幅は7-8円程度に留まっている。しかし、これは通常のマーケット環境では大きな振れ幅で、昨年の10月以降の1日に7円も動く相場を見てくると落ち着いたマーケットに見えるのである。

日本にとっては最も好ましくない円高基調が定着してしまっている。今年に入ってからも変動幅は小さくなったものの、ドル円では87.11、ユーロ円では112.08と共に昨年の高値を抜いてきている。輸出産業が消費減退により大きく生産を調整せざるを得なくなっているところに、この円高はまさに傷に塩を塗るがごとく痛烈に輸出企業の収益を圧迫している。一時、為替介入も視野に入れるとの取られる発言も見られたが、今のように、急激ではないがじわじわと円高が進み、かつ、それが定着してしまっているマーケットではなかなか介入には踏み切れないのが現状である。35兆円もの介入資金が使われることなく外為特別会計に眠ったままになっている。やはり、10月の時点で一度は介入すべきであったのだろう。

世界通貨全体を見てみると、円とドルが最強の通貨となっている一方、ユーロ、資源国、新興国などの通貨が軒並み急落している。今までは、投機資金が高金利通貨に流れ込み極端なポジションの偏りを見せていたものが、極度のリスク回避思考から一斉に資金を引き上げたものと見られる。そのために金利が高かった通貨ほど売られ、低かった通貨ほど買われたという逆流現象が生じている。日本はその最たるものとして世界最強の通貨となったのである。

予想困難な今後の動向


今後の見通しについては、予想するのは非常に困難ではあるが、ドル円については現状水準、ユーロ円についてはもう一段の円高がありうると見ている。

まず、ドル円については、1.介入できるレベルはおそらく80-85円程度と見られていることが心理的な歯止めをかけている。2.米国の金利もゼロ金利となり、日米の金利差がなくなっていること。3.日本経済の急激な悪化により、リスク回避先としての通貨としてこのまま買い続けるということが難しくなること、等の理由から、当面の間は現状レベルを維持するものと予想する。レンジとしては、85-95円

一方で、「ドル暴落説」は根強く残っている。今回可決された7870億ドルの緊急経済対策をはじめ、今後、2兆ドル規模の金融安定化法案やビック3救済など、米国財政赤字を巨大化させる要因は事欠かない。このためにドルの価値が下がり暴落するのではないかという説である。しかし、現状では、景気回復が第一目的であり、市場もまずは景気の先行きに注目が集まっている。よって、財政出動したから直ちにドルが暴落するということはないであろう。もしこの議論が本格的に起こるとしたら、米国経済が今回の財政出動により回復し、拡大する見通しが立ってから、さて財政赤字をどのように削減していくかが注目され始めてからであろう。よって、この議論は少なくとも来年以降の話ではないだろうか。

次に、ユーロであるが、1.金利引き下げ余地がまだ残っていること、2.ロシアの混乱がユーロ安を導く恐れがあること、3.積極的な財政出動策を取れないこと、などにより、もう一段のユーロ安を見込む。