- 小笠原 隆夫
- ユニティ・サポート 代表
- 東京都
- 経営コンサルタント
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03-4590-2921
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
なかなか持てない「見切りをつける勇気」
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ある会社のナンバー2の方と話している中で、この会社で2年ほど前からやり始めたという新規事業の話題になりました。
社長が先頭に立って直轄で取り組んでいる事業ですが、これまで2年間の売上はほとんどなく、やればやるほど投資と経費がかさんで、ただ会社の業績を圧迫しているだけだといいます。直近の売上見込みもほとんどメドが立たないようです。
今後の収益も見込めず、将来性も認められない状況で、社員の間でも不安の声が出ていますが、社長に事業縮小や撤退を促しても、「将来性を評価された」とか「引き合いの話があった」とか、些細な話をいかにも大きな光がさしているように言って、この事業をどうにかして続けようとしています。
さらに、撤退どころか新たな営業要員を雇ったりするなど、独断で追加の投資をしてしまうので、このままでは会社自体が存続できなくなるのではないかと、このナンバー2の方は危惧しています。新規事業がらみでは、よくある話という気もします。
その後いろいろ話を聞きましたが、商材の内容や価格、市場、これまでの案件数や引き合い状況、売上実績などを見ると、私もあまり芽が出そうにない事業のように感じます。しかし、社長はたぶんそう思っていないのでしょう。
実際問題として、事業をやめてしまえばこれまでの投資は無になりますが、続けていればもしかすると何かしらのリターンがあるかもしれません。こればかりはどうなるか、何が正解なのかはわかりません。
これとはまったく別の話ですが、このところの株安がらみの雑談をしている中で、複数の人から「年明け早々の段階で手持ちの株をほとんど手放した」という話を聞きました。皆さんそれなりに投資で成功している人ばかりでしたが、異口同音に言っていたのは、「この状態は続かない」「そろそろ見切り時だと思った」ということでした。
そう判断した目の付けどころは千差万別でしたが、少なくともみんな必ず何かしらの論理があった上での「見切り」で、ただの勘や当てずっぽうという訳ではありません。
ただ、その事象を誰でも同じように捉えるかというと、それはそうとは言えず、何かの直感が働いていることもまた確かでしょう。
実は私自身は、身の周りで起こることに対して、なかなか「見切り」がつけられないタイプを自覚しています。「せっかく今までやってきたのだから」という思いがなかなか捨てられません。見切りをつけられずに大きな損害を被った経験は、幸い今のところはないですが、もっと伸びるとか効果があると思っていたことがさほどでもなく、それでも何となくやめられずに続けていることは、やっぱりいくつかあります。
ただ、事業とか投資とか会社経営はそれではダメで、何でも根気強く続けていればよいわけではなく、「見切りをつける勇気」もなければ、絶対に成功はしません。
でもやっぱり私は、「物事に見切りをつける勇気」がなかなか持てません。一度始めると、どうも引くに引けなくなってしまうようです。
「継続する力」と「見切りをつける勇気」はどちらも大事ですが、「続けること」よりも「見切りをつけてやめること」の方が、より難しいことではないかと感じています。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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