これは会社の中でも良くある話のような気がします。「うちのA社長は何でも思いつきで動くので、振り回されて困る」、「うちのB部長は一度決めてしまうと、なかなか変えようとしない」など。
それぞれに対してどちらも批判的なコメントですが、良く捉えれば「A社長は臨機応変で柔軟性がある」、「B部長は一貫性があってブレない」という言い方もできます。
結局、一貫性と柔軟性は、長所・短所などと同じで表裏一体の関係ですから、その時の状況に合わせてどう使い分けるかということで、そのバランスを欠くと一貫性がない、柔軟性がないと批判されることになるのだと思います。もっと言うと、相手にとって変えて欲しくないことを変えると“一貫性が無い”、変えて欲しいことを変えないと“柔軟性が無い”となるのではないでしょうか。
最近の首相の件で言えば、やって欲しいことや変えて欲しいことを実行すると言ったのに結果はどんどん後退し、このままの流れでやって欲しいことを急に変えると言い出し、それぞれに詭弁のような言い訳をしている所で、「ブレている」、「信頼できない」ということになっているように思います。
全体の意見や空気感を感じ取るということは、リーダーとしてとても重要なことではないかと思います。
一方で、組織を動かす中では、相手が変えて欲しくないと思っていても、変えなければならないことはありますし、変えて欲しいと思っていても、出来ないこともあります。全体の意見とは違う方向に向かわねばならない時があります。そんな時にメンバーの納得を得るためには、経営者やリーダーが信頼されているかどうかにかかっていると思います。戦略や戦術がどんなに良くても、それを説くリーダーが信頼されていなければ人は動きません。信頼感とは過去の振る舞い、個人の人間性、日々のコミュニケーションなど、小さな事の積み重ねです。
「ブレている」などと言われないために必要なのは、結局「日常から相手と誠実に向き合っているかどうか」ということに帰結するような気がしています。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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