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「脳科学から見た様々な差」の話から

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 目に留まった事

 以前読んだ新聞に、脳科学者の中野信子さんのインタビュー記事がありました。

 興味深い研究結果が多数語られていて、例えば男女の差について、「脳の左耳上あたりに『上側頭溝』というコミュニケーション能力をつかさどる器官があり、男女で比べると女性が大きく、話をしたり、空気を読んだりという気質は、女性の方が高いと言える」とのことです。


 インタビューしている記者が「自分のまわりの男性には、空気を読みそうな人が多いが?」と尋ねると、「新聞社の男性はマス“コミュニケーション”が生業なので、他の職業に比べると、空気を読める人が多く偏って存在するのでは」とのことでした。「科学研究はなるべく偏らないサンプルを多数取って、『男性全体と女性全体で比べると平均的にこう違う』と統計的にデータを評価する」とのことです。


 一連の話の中で興味深かったことで、一つは神経伝達物質のセロトニン分泌の男女の違いで、「セロトニンの合成能力は、男性が女性より52%高い」とのことでした。「セロトニンが多いと安心感を覚え、減ると不安になりやすいので、将来予測をすると、男性よりも女性の方が暗く厳しく考える傾向がある」のだそうです。

 個人をみれば、男性で慎重な人も、女性で不安を持たずに挑戦する人もいますが、一般的には男性はイケイケで投資志向、女性は慎重で保守的ということになるようです。


 もう一つは、「セロトニンを有効利用しやすい遺伝子の組み合わせを持つ人は、日本人では3%、米国人では32%」という研究結果です。セロトニンは不安感情を和らげるので、米国人の方がリスクがあっても怖がらず、日本人の約10倍も挑戦的な人がいると推察されるとのことです。

 日本は地震のような激甚災害が多いことから、慎重な人の方が生き延びる確率が高く、米国人はリスクを冒して移民した人が多いので、セロトニンをうまく使える人の比率が高かったのではないかということでした。

 ここから見ると、日本人にベンチャー企業は向いておらず、日米間の起業率の差には、こんな要因もあるかもしれないとのことです。一方、日本人は一度生まれた企業を大切に育てて、長く生かすことには向いているかもしれないということでした。


 他にも興味深い話がいろいろ出ていましたが、私が脳科学に興味を持つのは、今まで多くの人材や組織を見てきた中で、感覚的に思っていた傾向と、脳科学的な知見で合致するものが多かったからです。


 最近の企業における人事や人材開発の世界では、脳科学や心理学のような科学的知見を取り入れて行こうとする方向性があります。個人を細やかに見極めるとともに、研修プログラムやキャリアプラン、組織内の役割や配置などで、科学的知見を活かしてより効果を高めようとしています。


 中野先生も繰り返し言っていますが、脳科学の知見はあくまで平均値を統計学的に分析したものであり、個人の努力や個性を否定するものではありません。一般的な傾向や平均的な枠に当てはまらない人はたくさんいます。


 しかし、感覚や都市伝説のような話は、ただのレッテル貼りになりますが、科学的知見があれば、それは一つの根拠になり得ます。

 企業の中で人事、組織という役割を持って、多くの人と接する上では、脳科学や心理学を理解しておくことは、これからますます必要になってくると思います。

 感覚を科学と突き合わせることは、自分なりの根拠を得るためにも大事なことではないでしょうか。


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