メリルリンチ、買収される前にボーナスを前倒し支給 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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メリルリンチ、買収される前にボーナスを前倒し支給

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12日4時38分トムソンロイターのネット記事はこう報じた。

米メリルリンチが、秘密裏にボーナスを前倒して支払い、従業員
700人近くに対して少なくとも一人当たり100万ドルを支払っていた
ことが分かった。

ニューヨーク州のクオモ司法長官が下院金融委員会のバーニー・フランク
委員長(民主党、マサチューセッツ州)に宛てた書簡で明らかになった。

メリル幹部は2008年12月、同社が第4四半期に153億ドルの損失を
計上する一方で通常よりも早い時期に同年のボーナスを受け取っていた
としている。

ロイターが入手した書簡のコピーによると、司法長官は「われわれが
要請した透明性の高い方法でのボーナス計画の開示ではなく、メリルは
ボーナスを支給するために支給日を前倒し、失敗した幹部に高額を
支払ったようだ」と述べた。

司法長官によると、メリルの08年ボーナス総額は36億ドルで、従業員
1人当たり平均9万1000ドル。トップ149人に対しては合計8億5800万ドル、
696人が少なくとも100万ドルをそれぞれ受け取っていた。

メリルを買収したバンク・オブ・アメリカのルイス最高経営責任者(CEO)
は金融委員会の公聴会での質疑応答で、今後大きな変更が行われる見通しだが、
実際に会社を所有するまで変更は不可能、と述べた。




なんとも悪質な話ですね。
アメリカらしいといえばアメリカらしいのかもしれませんが・・・

バンカメが救済的に買収したはずのメリルリンチは、買収されたら
もらえなくなるであろうボーナスを買収前にもらっちゃったんですね。

自分さえ儲かればいい、という考えが蔓延していたアメリカの経済界の
腐敗も、ここまでくると、呆れるしかないですね。

成功報酬的に短期の利益にしか目が向かず、長期的な成長を意識した
投資がないがしろにされてきたわけですが、彼らの発想には、
ゴールデンリタイアがあるんですかね。

自分が辞めた後の会社がどうなろうと知ったことではないんでしょうね。

日本人のメンタリティーには合いそうにもありません。


法律に対する考え方自体が、東洋と西洋では違いますから、
分かりにくいかもしれません。

やってはいけないことを規定するのが法律だ、法律に書いていないことは
やっていいことだ、と考える欧米的な法律のとらえ方は、我々日本人には
理解しがたいところですね。
私たちの基本的な考え方は、法律というものは規範であって、法律に
書いていなくても、やるべきではないことはやらないというものでしょう。

税法においては、法律に書いていないことを上手く使って(悪くいうと
法の網の目をぬって)税金をできる限り安くする租税回避スキームは、
外資系投資銀行を中心に各種の方法が次々と開発されている。

租税法律主義を強く打ち出すのであれば、税法に書いていないことに
課税することは許されないことになるので、租税回避が成立する。

しかし、もう1つの大原則である租税公平主義からすれば、不公平感を
増幅させるような租税回避は否認されるべきであろう。


今回のメリルリンチのやり方にしても、経営の失敗を買収により
救済してもらいながら、自分たちの報酬はまず確保することに抵抗感が
ないのでしょうね。

恥も外聞もいらないのでしょう。

別業界ですが、会社の救済に公的資金投入を希望しながら、自家用
ジェットで移動するような会社もありましたよね。


やってはいけないことではないのでしょうが、我々の常識からは
理解できない感覚ですね。

我々も襟を正して、やるべきではないことに「NO」と言いたいものですね。