なぜ日本の住宅寿命は短い:ライフスタイルの違い−1 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

森岡 篤
有限会社パルティータ 代表
建築家

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対象:住宅設計・構造

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なぜ日本の住宅寿命は短い:ライフスタイルの違い−1

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家の寿命を科学する

■ ライフスタイルの違い(その1)


昔日本では、親夫婦と子夫婦が大家族で一緒に暮らすというのが、普通の姿でした。
家制度により「家」が中心で、女(嫁)は、結婚する男の「家」に入る(嫁ぐ)ことを意味しました。
大きな家であっても、台所も風呂も一つの共同生活です。部屋は障子やフスマで仕切られ、プライバシーはないがフレキシブルにできているため、子世帯を受け入れることができました。

戦後、制度が変わり、社会の近代化から、サラリーマン化が進み、通勤等の都合から親夫婦と子夫婦が別々に暮らすことが多くなりました。いわゆる、「核家族化」です。

「核家族化」と言われ始めたのは、高度成長期の1960年代あたりからで、既に40年余りが過ぎています。
その間にさらに核家族化が進み、親と同居することはほとんどなくなってきたのでしょうか、そんなことはありませんね。
現在でも世界的に見れば、日本は親と子世帯が一緒に住む家庭(二世帯住居)が多い国であり、それは今後も続くと思われます。


欧米はどうでしょうか。
欧米では、子供は成人すると独立して、家を離れます。
子供は結婚しても、親と同居することは普通ありません。
親夫婦は、子供が独立して、しばらく同じ家に住み、(家を子供に譲ることもあります)もっと楽に暮らせる小さな家に引っ越すか、老人ホームに入ります。
老人ホームは、数も多く、日本のような暗いイメージは全くなく、快適に余生を過ごします。

親夫婦と子夫婦(子家族)は、同居することはないので、住宅は、どの家も、1組の夫婦と子供が住宅の単位なのです。
親夫婦と子夫婦が同居する二世帯住宅は必要ありません。
家の大小、個室の数やグレードに差があっても、家の基本機能は同じです。
しかも古い家に住み替える事に抵抗がないわけですから(古い方が好まれる)、家を建て替える必要がないわけです。

<続く>