- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
毎日続く「甘い甘い」質問です。
不思議で仕方がないのですが、英語圏のレベルは舐められていますか?
日本の学校で、母国語で勉強してもうまく行かなかったのに、言語も文化も違う国の高等教育機関では通用すると思っていることに唖然とします。
「留学」という言葉が実態のないまま独り歩きし、「日本の若者の行事」と化してしまっている気がしています。
危険ですね。
【質問】
いま高校3年です。色々と進路に迷いに迷っていますが留学をしたいと考えてもいます。
ですがお金がそもそも無いので難しいと思うんですが、ワーキングホリデーという手もあると友人から聞きました。
私は英語がペラペラ喋れるわけではなく好きな程度なのですがその程度で留学をすることは可能でしょうか。またどういった流れで留学できるのか教えて頂きたいです。
【回答】
日本の高校で成績を残し、英語、特にクリティカルシンキング思考法の特訓を受けている3名の日本人生徒のカナダ大学への出願を先週手伝ったところです。
カナダ在住、30年に渡り日本からカナダの学位を目指して留学する生徒の支援をしています。
その立場から回答させていただきますね。
結論から述べますと、あなたにとって留学は非常に非現実的です。
1.「進路に迷いに迷う」ことは高校生には普通に起こります。
特に、偏差値やら学校の暗記テストで振り分けられる成績のみで大学を決められる日本の高校教育制度下では、自分が一体何のスキルをつけるべきなのかなどは全く無視。
自分の未来が見えないまま何となく「みんなそうするから」と大学に入るのが現状です。
しかし、海外への進学を視野に入れる場合は「非常に高い英語運用能力」「日本の高校でのトップクラスの成績」「資金力」が絶対必要です。
それらのひとつ欠けても、海外進学は蜃気楼のような実態のない夢物語となりますね、残念ながら。
2.ワーキングホリデーは「留学」ではありません。
単に海外での体験を求めた若者が1年の期間滞在出来るビザです。
正直ここカナダ、バンクーバーにもワーキングホリデーの若者がいますが、地元とはほぼ溶け込んていないのが現状です。
まず社会で通用する英語が出来ないので、就労も日系のレストランなどに限られ、何の能力も付かず帰国する人がほとんどです。
地元カナダの人の間での評判も悪いです。
「日本人同士でつるんで、日本人仲間と飲んでパーティーをし、悲劇的にホームシックとなり、英語も話さず帰っていく」と。
日本で進学しスキルを付ける代わりに、ワーキングホリデーなどを選択すると、一生大きな禍根を残すことになりますよ。
3.「英語はペラペラ喋る」ものではありません。
英語を話す人たちの頭の中にはクリティカルシンキング思考法があります。
3歳児でも、クリティカルシンキング思考法で英語を話します。
内容があり、それを論理的・客観的・具体的・批判的(これがクリティカルシンキング)を使い、正しい文法で話せること。
このレベルに達して始めて「英語が話せる」と言えますからね。
そして、この本当に「英語が話せるスキル」なしにはカナダでの進学はほぼ不可能です。
街にあるいんちき語学学校で遊んで暮らす「遊学」なら話は別ですが、何のプラスにもなりません。
あなたの大切な人生の一時期と、膨大な額のお金が消えて行くだけです。
4.「どういった流れで留学出来るのか」
まず、1番で述べた能力をつけること。
そこから、留学が視野に入ります。
(学習法などでご相談がある場合は、直接ご連絡下さい。)
最近、ますます日本から留学している学生の2極化が進んでいます。
日本でもトップクラスの成績を残し、英語の特訓(特にエッセイスキル)を行いカナダにやって来る生徒。
この人達は、確かなルートに乗り、大学正式入学を果たし、学位取得までたどり着くことがほとんどです。
ただし、何年も猛勉強の日が続くことも知っておいて下さい。
そのような生徒でも、留学生にとり最初の入口が年々難しくなり、どういう形で留学を開始するかが将来への大きな鍵となっています。
支援が必要な学生が最近増えて来たことも付け足しておきます。
逆に、「留学」にはいかに高レベルが必要かの知識もなく、エージェントの口車に乗せられ(簡単ですよ!お言われます。)全くどこにもたどり着けないインチキ語学学校に送られる日本人が相当数います。
英語の勉強とは何なのか、どうしたら大学の入り口にたどり着けるのか、見当もつかず時間を過ごし、どこにも到達出来ず帰国していきます。
日本に帰っても何のプラスもなく、無駄にした時間が一生足を引っ張ってしまいますね。
よく考えて、自分の大切な人生の選択をして下さい。
Good Luck!
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日本人留学生のための留学準備・留学中学習サイト UX English
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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