コンピュータ・ソフトウェア関連発明の成立性(第5回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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コンピュータ・ソフトウェア関連発明の成立性(第5回)

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コンピュータ・ソフトウェア関連発明の成立性
 〜精神活動が含まれる歯科治療システムの発明〜(第5回) 
河野特許事務所 2009年2月13日
執筆者:弁理士  河野 登夫

2.3 審決の内容
(1)補正の適否の判断
 請求項1 の補正は,補正前の「歯科治療システム」の発明を特定するために必要な事項である「歯科修復を判定する手段」,「初期治療計画を策定する手段」を削除したものであり,請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものでないことは明らかであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに当たらない。また,該補正は,請求項の削除,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに当たらないのは明らかである(H18 年改正前特許法17 条の2 第4 項違反),として本件補正は却下された。

(2)本件補正前の請求項1 の発明(2.2 B に記載の発明)についての判断
 特許法2 条1 項に規定する発明の自然法則の利用性に関し,「人が主体となって行う,判定すること,計画を策定すること自体は,人間の精神活動そのものであって,「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するものでないことは明らかである。
(中略)
 さらに,一部発明特定事項が,人間の精神活動そのものであると認められる場合は,発明は,該発明特定事項を構成要件とするのであるから,「自然法則を利用した技術的思想の創作」に当たるということはできない。」と基本的な考え方を確認した。その上で請求項1 に関し,
「請求項1 には,「要求される歯科修復を判定する手段と;」と「前記歯科修復の歯科補綴材のプレパラートのデザイン規準を含む初期治療計画を策定する手段とからなり」とが発明特定事項として記載されている。
 そして,歯科医師が,その精神活動の一環として,患者からの歯科治療要求を判定したり,初期治療計画を策定するものであることは社会常識であるから,請求項1 の「要求される歯科修復を判定する」,「前記歯科修復の歯科補綴材のプレパラートのデザイン規準を含む初期治療計画を策定する」の主体は,歯科医師であるといえる。そうすると,請求項1 において,歯科医師が,その精神活動の一環として「判定する」こと,「策定する」ことを,それぞれ「手段」と表現したものと認められる。」と認定した。また「発明の詳細な説明」においてもこれらの「判定する手段」及び「策定する手段」について特別な構成が採用される等の記載はない,とも認定した。
 一方で,「請求項1 は,当初の「双方向歯科治療方法」から「コンピュータに基づいた歯科治療システム」の発明に補正され,「判定し」,「策定し」を「判定する手段」,「策定する手段」に補正しているが,「判定する手段」,「策定する手段」に関して,上述のとおりその発明の特定事項として,歯科医師が主体の精神活動に基づく判定,策定することを,上記「手段」と表現したものであるから,請求項1 に係る発明全体をみても,自然法則を利用した技術的創作とすることはできない。」と認定して,請求項1 に係る発明は,特許法2 条1 項で定義される発明に該当しないというほかない,と判断した。
 他の請求項は請求項1 に従属しているから,請求項1 自体の発明の成立性が否定されているので同判断がなされ,また,一部の請求項は請求項1 に記載されたところ以外の人(歯科医師,技工士)の精神活動そのもの或いはそれに基づく行為を特定したもの,と判断され,自然法則の利用性を否定された。

(第6回に続く)
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