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罰を受ければ「責任を取ること」になるのか?

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え

 少し前の話題ですが、ある地方自治体が開催したイベントが大きな赤字を出し、その赤字額の一部を実行委員会の責任者個人が、自費で補填していたということがありました。

 計画や収益予想をすべて業者任せにしていたなど、チェック機能が働いていなかったようで、そこから「税金には手をつけられない」と考えたことが自腹負担をした理由のようです。

 この行動について、「素晴らしい責任の取り方」と評価する人がいる一方、「自己負担したからといって責任を取ったことにはならない」と批判する声もありました。

 

 人間が社会生活をする中で、何か行動を起こせば、そこには何かしらの責任が発生します。それに対して「失敗したら責任が取れるのか」などと問い詰められたり、起きてしまった失敗や不祥事に対して、「責任を取れ!」と責められたりすることがありますが、具体的に何をどうしたら「責任を取ること」になるのかを考えると、意外に難しい気がします。

 

 例えば、会社で仕事上の失敗をしてしまったとして、「責任を取ること」には、いったいどんな方法があるでしょうか。

 一般的にみられるのは、まず謝罪から始まり、以降は失敗の状況に応じて減俸や降格、左遷のような異動、さらに重ければ最終的には辞職となることのでしょう。この流れは、実は就業規則などに書かれている懲戒処分の流れと良く似ています。「責任を取ること」イコール「自分自身に課す懲戒処分」のようなものです。

 

 しかし、これが本当の意味で「責任を取ること」になっているのかを考えると、私はどうもしっくりきません。

 自分の行動で引き起こした失敗に対して、金銭的な損失を補填しなければならないことも確かにあるでしょうし、責任の取り方の最終手段として、「辞める」という方法は、わりとよく見られることです。

 しかし、罰さえ受ければそれで「責任を取ったこと」にしてしまう傾向が強く、「謝ればよい」「お金を払えばよい」「辞めればよい」というような、「罰さえ受ければ責任は取った」と開き直ってしまう風潮を感じることがあります。

 

 その一方、最近の議員不祥事などを見ていると、この「失敗を次に活かすこと」に都合よくフォーカスして、「罰を受けずに済まそうとする」という様子も目にします。特に会社や組織で上の立場の人や、権力者にあたる立場の人が、ただ口先だけで謝って、「以後気を付けて頑張ります」では、責任を取ったとは見られません。周りを納得させるためには、情状に見合った「罰を受けること」も必要です。

 

 本来あるべき「責任を取ること」の中には、「失敗を反省し、その経験から学んで、次の機会に活かすこと」のように、失敗への向き合い方と将来への活かし方という部分と、「罰を受けること」をはじめとした、そこに向き合う姿勢や態度といった、周りの人たちから見た主観的な部分の両面があります。

 これらが両立して、初めて「責任を取ったこと」になります。

 

 起こしてしまった失敗には、周りが納得するけじめをつけ、その失敗に真摯に向き合い続けることこそが、本当の意味で「責任を取ること」になるのではないでしょうか。

 

 

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