- 大園 エリカ
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
- 東京都
- クラシックバレエ教師・振付家
インターネット全盛の今の時代に何なのですが…。
私は外出する時にはインターネットはしたくない派=外出した時まで機械奴隷にはなりたくない主義なので、未だにガラケー派なのでございます。
(^^ゞ
そして外に出た時に写真や動画を撮る事も、実はあまり好きではないのです。(※勿論例外もありますが…)
何故なら今自分が観ているものを未来に残そうとする事は、撮影する作業に意識が分散してしまい、"今"という瞬間を味わう感動を、同時にルーズしてしまう事が多いからなのです。
( ・・) ~ ★
…という事で、今回はそんな私の心境に通じるメッセージを、皆様にお届けしたいと思います♫
☆_(_☆_)_☆
「記録」と「記憶」の狭間 「自分であり続けるために」 田坂宏志 著 より
遠い昔、米国の知人を訪ねたときのことです。
夕方、彼は、私を誘い、
近くの小高い丘の上に連れて行ってくれました。
そこは、アリゾナの沙漠に沈む
素晴らしい夕陽を見ることのできる場所でした。
その沈む夕陽のあまりの美しさに、
思わずカメラを取り出し、写真を撮ろうとした私に、
その知人は、静かに、語りかけました。
この夕陽は、
写真に残すのではなく、
あなたの心に残して下さい。
素晴らしい風景を見るとき、
その知人の言葉を、思い出します。
我々は、美しい風景を見るとき、
しばしば、夢中になって、
それを写真やビデオに残そうとします。
しかし、そうして一生懸命に
その景色を記録したあと、
ふと、気がつきます。
心の底から、味わい、
心の深くに記憶する。
そのことを忘れてしまったことに、
気がつくのです。
この一瞬を、未来へ残そうとするあまり、
この一瞬を、心に残すことを忘れてしまう。
それは、
記録という営みと、
記憶という営みの狭間にある、
密やかな陥穽なのでしょう。
※【陥穽(かんせい)】
動物などを落ち込ませる落とし穴。
人を陥れる策略・わなという意味でも使われる。
この写真は、この日の朝の空のオーラのあまりの美しさに感動し、思わず「写真に残したい!」とカメラを持ち出しシャッターを押して撮った写真でした♪
これはちょうどここでコラムを書き始めた頃に撮れた写真で、機械音痴の私が初めてコラムに写真を投稿するという初体験をした思い出の写真でもあります~♫
(*^^*) ~ ☆彡
デジカメで素人が撮る写真ですから、肉眼で直に見て感動した本物の空の色合いには程遠いものでしたが、
でもこれがキッカケで、それから空の写真をガンガン撮りまくっていた私㋱で、だからあの頃は空ばっかり見上げていた様な時期でもありました。(※今思うと「何故だったのだろ~?」と不思議ですが…)
この頃は「空という被写体を、写真を通して表現する」という、一つのアートの面白さに目覚めた時でもありましたが、そう言えば最近は全然撮らなくなっていますね~。
(・。・;
まだ空など撮る時には、同時に直にその景色を味わうゆとりがありますけれど、大体感動を写真や動画に残そうとして、撮る事に夢中になっている時間というのは、
実は「その瞬間の生の感動と臨場感を味わい切れない」という作業でもあるので、(※写真として"アートを目的"として撮影する場合は全然違う感覚が生じて、すンごく楽しかったりするのですが♪)
私に取っては、そういう"今・ここ"に集中できなくなる時間になってしまう事は、正直あまり好まない方だと思います。
でもだから私は何かを拝見した時には集中度が凄くて、故に物凄い密度の濃さで感動するという事が人よりも深い経験になり、それがより印象深く美しい思い出として、自分の記憶に成っているのかな~とも思います~☆彡
( ・・) ~ ☆彡☆彡☆彡
確かにこの時代は、自分で見る事ができないものを、他の誰かが撮って下さったからこそ拝見する事ができるという恩恵もある訳なのですよね~。
自分の中にそういう矛盾を抱えながらも、でもやはり、"今、ここ"で実際に味わうという事に勝る濃厚な感動はないと、私は実感するのでございます♫
☆_(_☆_)_☆
だって撮影している時は、"今行われている大事な瞬間"に集中する事は、やはりできませんからね~。
(・_・;)
特にグラビアやフォトブック、DVDや映画やドラマなど、最初から”撮影”というものを通して表現されるという前提でない生のライヴや舞台芸術は、
機械を通して再生しても、その時に現場で味わったあの空気感と臨場感は再現はできないものなので、「全然違うもの」として楽しむ事しかできないという事実があります。
(・。・;
このコラムの執筆専門家
- 大園 エリカ
- (東京都 / クラシックバレエ教師・振付家)
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
natural & elegance
長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年