日経記事;『自動運転ソフトで連携 トヨタ系など新団体』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『自動運転ソフトで連携 トヨタ系など新団体』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

12月9日付の日経新聞に、『自動運転ソフトで連携 トヨタ系など新団体』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。
記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『自動運転車の頭脳にあたる基本ソフト(OS)の開発で、日本を中心に欧米、アジアの企業が連携する。OSの普及促進を担う団体を設立し、トヨタ自動車の子会社や英半導体設計のアーム・ホールディングス、名古屋大学など約20の企業や団体が加わった。技術や知見を持ち寄り、自動運転技術で先行する米グーグルなどに対抗する。。。』

この記事によると、当該団体の名前は、一般社団法人「オートウエアファンデーション」であり、12月10日(月)に発表されるとのことです。この社団法人の情報が公開されたら、詳細内容を確認します。

トヨタは、自動運転の基本ソフト(OS)をオープンソースのやり方で、開発・実用化を行うやり方を取るようです。

このオープンソース上で、「オートウエアファンデーション」のメンバー企業が、自動運転の開発・実用化を行うやり方になります。

オープンソースソフトウェアの定義は、『ウィキペディア(Wikipedia)』によると以下の通りです。

『オープンソースソフトウェアは、ソフトウェアのソースコードが一般に公開され、商用および非商用の目的を問わずソースコードの利用・修正・再頒布が可能なソフトウェアと定義される。オープンソースライセンスが課せられたソフトウェアやパブリックドメインに置かれたソースコードとそのソフトウェアなどがそれに当たる。
アメリカ国防総省はオープンソースソフトウェアを「可読性のあるコードが利用・学習・再利用・修正・改善・再頒布が可能であるソフトウェア」と定義している。。。』

このウィキペディアでは、オープンソースソフトの事例として、LAMP・Ruby on Railsなどのウェブプラットフォーム、Linux・FreeBSD・Androidなどのオペレーティングシステム、TypeScript・C#・Goなどのプログラミング言語をあげています。

トヨタは、何度か本ブログ・コラムで取り上げていますように、自動運転機能付EVの開発・実用化に際して、他社との連携・協業(アライアンス)を組んで行うオープンイノベーションのやり方を採用しています。

オープンイノベーションのやり方は、トヨタがガソリンエンジン車で行っていた自社のリソースで行う垂直統合方式の開発・実用化のやり方と、真逆になります。

トヨタは、米大手ITベンダーのグーグルが先行して行っている自動運転機能付EVの開発・実用化の動きに対して、大きな危機感をもっています。

自動運転機能付EVは、しょうしょう極論を言いますと、言わばインターネットでつながった動く電子端末機器になります。

EVには、トヨタが今まで差別化・差異化の源泉の一つとしてもっていた、ガソリンエンジン車の技術やノウハウを必要としません。

EVの開発・実用化のハードルは、ガソリンエンジン車と比較して、格段に低くなります。

自動運転車が、完全自動運転のレベル5をもつと、自動運転車を利用する人は、まったく運転する必要がありません。

レベル5の自動運転車を利用する人は、スマートフォンを操作するように、車内に設置されたディスプレイ装置やオーディオ装置などを活用して、コンテンツを閲覧したり、友人と会話する、各種の検索を行う、仕事を行うなどのことを行います。

グーグルが自動運転機能付EVの開発・実用化を行っている理由は、まさに上記のインターネットの出口端末となる「動く電子端末機器」市場を押さえようとしています。

グーグルは、トヨタのような自動車メーカーになる意図はなく、EV本体は自動車メーカーから調達する、アップルと同じようにいわゆるファブレス企業として、自動運転車ビジネスを行います。

グーグルは、自社のソフトウェア開発力により、AI・IoT対応などを含めて、競合他社との差別化・差異化を実現しようとします。

多分、自動運転機能付EVの市場には、他の米大手ITベンダーであるアップルやアマゾンなども参入する可能性があります。

トヨタは、自社の自動運転機能付EVの競争力を維持強化するため、米大手ITベンダーが今まで行ってきたオープンイノベーションのやり方を積極的に取り入れて事業展開しようとしています。

この視点から、トヨタが自動運転機能付EVの頭脳となるOSや各種のアプリケーションソフトの開発・実用化を、「オートウエアファンデーション」を基盤として、オープンソースのやり方で他社と行うことに大いに注目しています。

トヨタが指向するオープンイノベーションのやり方が、「オートウエアファンデーション」での事業化の可否で試されます。

一方、グーグルは、12月5日から自動運転車を使った配車サービス(「ウェイモ・ワン」)を米国で実用化しています。グーグルは、米アリゾナ州フェニックスでサービスを始めました。

現時点では、グーグルがトヨタに先行して、自動運転機能付EVの事業展開を開始しました。

今後のトヨタの巻き返しを含めた、オープンイノベーションのやり方を中心とした今後の事業展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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