日経記事;『トヨタ・ソフトバンク、移動データ活用で提携 新会社で新サービス創出』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『トヨタ・ソフトバンク、移動データ活用で提携 新会社で新サービス創出』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

10月5日の日経新聞に、 『トヨタ・ソフトバンク、移動データ活用で提携 新会社で新サービス創出』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の冒頭部分の抜粋は、以下の通りです。

『トヨタ自動車とソフトバンクグループは4日、自動運転など次世代車の事業展開で提携すると発表した。車の開発や安全技術で世界首位を競うトヨタと、各国でシェア事業者に出資するソフトバンクが手を組み、次世代分野で主導権を狙う。人工知能(AI)など技術進展を背景に、あらゆる産業でデータが企業の価値を高める時代。米グーグルなど異業種が存在感を増す自動車産業でも、データを巡る覇権争いが本格化する。。。』

また、10月4日には、『ホンダ、GMと自動運転提携3000億円拠出、技術開発 IT大手含めデータ争奪』の記事も掲載されています。
トヨタとホンダは、9月30日付のブログ・コラムで述べていますように、自動運転車の開発・実用化を行うために必要な人工知能(AI)に対するデータを得体のです。

ソフトバンクは、世界のライドシェアを行っているウーバー、グラブ、中国の滴滴出行、インドのオラの筆頭株主です。

つまり、ソフトバンクは株式投資でライドシェアのプラットフォームをおさえているプラットフォーマーになっています。

トヨタは、ライドシェアのデータ所有者であるソフトバンクとの連携・協業(アライアンス)を提案して、ソフトバンクが現時点では受け入れた形になっています。

ホンダがGMとの連携・協業(アライアンス)を行うのも、自動車メーカーの中で、いち早く自動運転車の開発・実用化を進めて、自動運転関連のデータをもっているGMから、当該データを活用させてもらうことを主目的にしているとみます。

自動運転能力を左右する人工知能(AI)は、現在、機械学習方式がメインになっています。

機械学習のAIは、多くのデータから反復学習してその能力を高めていきます。

この自動運転のデータ獲得・蓄積で先行しているのは、米大手ITベンダーのグーグルです。

グーグルが、世界で一番初めに、自動運転車の開発・実用化を開始して、長い時間と費用をかけて、公道で必要なデータ蓄積を行ってきましたし、今も引き続き行っています。

トヨタやホンダなどの国内自動車メーカーは、自動運転車の開発・実用化でグーグルなどの動きに出遅れました。

当初、これらの国内自動車メーカーは、安全性の担保などから、自動運転車の開発・実用化にはあまり積極的ではなく、グーグルなどに先行を行って許しました。

もう一つの誤算は、電気自動車(EV)の開発・実用化です。EV普及の障壁は、搭載電池の性能不足により、一回の充電での走行距離が短いことでした。

この課題も、多くの電池メーカーが、不断の開発・実用化の努力をしており、一回の充電での走行距離も大分長くなってきましたし、今後も改善され続けます。

EVは、現時点でのベストと言える環境対応車であり、多くの欧州自動車メーカーが、ディーゼルエンジン車からEVへの転換を実施していることも、EVの普及を後押ししています。

つまり、近未来の自動車は、自動運転機能付EVが主流になります。

現在の自動車は、ガソリンエンジン車が主流ですので、既存の自動車メーカーの強みが発揮されており、グーグルなどの新規参入する非自動車メーカーには、勝ち目がありません。

しかし、EVの開発・実用化は、まったく異なる風景になります。しょうしょう極端な言い方をしますと、グーグルが行っているように、現在の自動車に対する開発・実用化のノウハウがなくても誰でも実行できるようになります。
グーグルの場合、この企業は自動運転機能付EVで、トヨタやホンダなどの自動車メーカーと同じ土俵で戦うことは、まったく考えていません。

おそらく、グーグルは、自動車本体は自動車メーカーからOEM調達して、そこに自動運転機能と、自動車内で楽しむインターネットツールやデバイスを提供するやり方になります。

グーグルは、自動運転機能付EVを、動くインターネット端末機器としてとらえています。

もし、グーグル、アップル、アマゾンなどの米大手ITベンダーが、このようなやり方で、自動運転機能付EVの開発・実用化を進めて、大きなシェアを獲得すると、国内自動車メーカーは、完全な下請企業になる可能性があります。

このような事態は、日本経済に大きな影響を与えますし、既存の自動車メーカーの多くは、生き残れないと考えます。

トヨタは、このようなリスクを想定して、2~3年前から、インターネット・IT・AI・IoT対応に多額の投資をしてきており、多くのオープンイノベーションのやり方を取り入れて、他社との連携・協業(アライアンス)を積極的に行っています。

本日の記事にありますソフトバンクとの連携・協業(アライアンス)は、トヨタが自社もデータのプラットフォーマーになって、ライドシェアなどの多角的なビジネスモデルを構築しようとする動きの表れとみています。

グーグル、アマゾン、アップル、フェースブックなどの米大手ITベンダーは、インターネット・ITを武器に、既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきました。

既存自動車事業基盤も、その例外にはなりません。その判断のもとに、トヨタやホンダが、本気になってオープンイノベーションのやり方をさらに徹底して行って行くと確信しています。

このような既存自動車事業が大きく変わる中で、主要プレイヤーが、オープンイノベーションのやり方をどのように活用して成果を出して行くのか、中小企業にとっては良い参考例になります。

この視点から、今後のトヨタやホンダの動きについて注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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