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閲覧数順 2024年04月17日更新

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「ドンファン症候群」「カサノバ症候群」とは

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これまで「自閉症スペクトラム障害」をはじめ、あまり女性に縁のない男性をご紹介してまいりました。今回はその正反対、女性との噂に事欠かない男性諸氏の特徴について解説しましょう。記憶に新しいのは、過日、事件にもなりました「紀州のドンファン」ですね。

「ドンファン」は17世紀スペインに存在したという伝説上のプレイボーイの貴族で、やはり貴族の娘さんを次々と誘惑したといいます。一方「カサノバ」は18世紀に実在した作家で、その女性遍歴は20世紀になり数々の映画にもなりました。

一見同じようで、二人の違いは「ドンファン」が理想の女性を追い求め、浮気はしなかったとのことです。しかし「カサノバ」は自伝「我が生涯の物語」にも記している通り、同時に不特定多数の女性とし、生涯1000人以上の女性と関係したと述べています。

ニューヨークにてある青年がビルから飛び降りようとしたところを、
燃え尽き症候群の精神科医ジャックに引き取られる。
その青年は、自分は1,502人の女を虜にした伝説の人物ドン・ファンであり、
最愛の女に振られたために飛び降りようとしたと語る。
人格障害と診断されたドンファンであったが、
彼の説く愛、彼の語る半生にジャックは魅了され、
妻に情熱的に接し愛を語るようになっていくのだった。
主演:ジョニー・デップ


カーニバルに沸き立つ18世紀中盤のヴェネチア。
カサノバはマッダレーナという尼僧からの手紙を受け取る。
指示されたサン・バルトロ島に赴いたカサノバは
「のぞき」性癖の大使のため大使に見られつつ色事を披露し期待に応えた。
海を嵐の中帰るカサノバは邪悪な書物を保持した罪により宗教裁判所の審問官に逮捕され、
入牢を余儀なくされる。
牢獄でカサノバは伯爵夫人ジゼルダやお針娘のアンナマリアとの一時を回想する。
カサノバは牢獄から脱獄しパリへ行き、神秘的な人々とデュルフェ候爵夫人のサロンで出会う。
時は過ぎ、彼は最愛の女アンリエットと出会うが、
ロンドンでは娼婦の母娘に屈辱を味わされるが、
次のローマでは馬車の御者と「絶倫」競争をし見事勝つ。
さらにスイスのべルンへ行き、ドレスデンで彼を愛さない母親と会い別れる。
そして数年後、冬のボヘミアに図書室の司書として老いて寂しくカサノバはいた・・・・・・・・
監督:フェデリコ・フェリーニ

いずれも、精神医学的には「異常」なのですが、強いて差異を述べるならば「ドンファン」はあまりにも高い理想を追い求める「自己愛性パーソナリティ障害」に相当するでしょうか。「カサノバ」は他人の注目を浴びることで満足を覚える「演技性パーソナリティ障害」に相当するでしょうか。


古典的には「性欲過剰 Hypersexuality」もしくは「色情癖 Erotomania」と定義され、いずれも「性的逸脱」「猥褻行為」として強迫的な性行為に及ぶことがあります。記憶に新しいのは米国のビルクリントンやタイガーウッズでしょう。最近では「性依存症」と呼ばれ、正式にはICD-10/WHOにて「過剰性欲」と定義されています。治療としては、過剰性欲を抑える薬を処方し、自助グループ “SA-JAPAN” へ定期的に通っていただくことをお勧めします。

もっとも、自閉症スペクトラム障害の方々のコミュニケーション障害を思い返すと、演技性パーソナリティ障害の方々の行動様式はその対極にあり、皮肉ながら、ある種の参考になるかもしれません。

演技障害パーソナリティ障害
「過度な情動性と人の注意を引こうとする広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる」
以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
1. 自分が注目の的になっていない状況では楽しくない。
2. 他者との交流は、しばしば不適切なほど性的に誘惑的な、または挑発的な行動によって特徴づけられる。
3. 浅薄ですばやく変化する感情表出を示す。
4. 自分への関心を引くために身体的外見を一貫して用いる。
5. 過度に印象的だが内容がない話し方をする。
6. 自己演劇化、芝居がかった態度、誇張した情緒表現を示す。
7. 被暗示的(すなわち、他人または環境の影響を受けやすい)。
8. 対人関係を実際以上に親密なものと思っている。

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