今年もよろしくお願いします。
さて、みなさんはお正月にお屠蘇(おとそ)は飲まれましたでしょうか?
お屠蘇は年始にお酒を飲んで楽しく過ごすということではなく、実は漢方薬
なのをご存知でしょうか?
日本でも江戸時代に書かれたという『和漢三才図会』という本や、中国でも
明の時代の『本草綱目』や、遡れば唐の時代の医学の教科書としても使われ
た『小品方』という書物にも「屠蘇酒」として載っている、由緒正しき漢方
薬です。
これらの書物によると、三国志に出てくる曹操を治療したといわれる「華佗」
という名前のお医者さんが考え出した漢方薬で、これを飲むと流行性の病気
や悪い気の一切を祓ってくれるそうです。
正式な飲み方は、お屠蘇の元になる生薬を三角のモミの袋に入れ、除夜に井戸
の底にかけておき、元旦に取り出してお酒に入れ、数回沸騰させて煎じます。
そして、一家中の者がみんな東を向き、年少から年長のものへ順番にこれを飲
んで行きます。
残ったカスは井戸に投げ入れ、歳ごとにこれを飲むと「一世の間、無病で過ご
せる」と書かれています。
最近では、節分の恵方巻など、古い風習がまた注目されていますが、お屠蘇も
正式な飲み方があるので、来年は皆さんで東を向きながら飲んでみるのはいか
がでしょうか?
(画像は、江戸時代の『和漢三才図会』に書かれた屠蘇酒のイラストです。
今と変わらないのが興味深いですね)