「高校留学」を夢見る、幼く非現実的な高校生ーエージェントのカモです

「高校留学」「海外での仕事」について驚くほど幼く、非現実的な希望を持っている若者が多いことに危機感を覚えます。

世界を知り、自分の考えを組み立てるという教育の欠如が原因なのでしょうか。

このような相談に「やった！金づるが来た！」と飛びつくエージェントが原因なのでしょうか。

【質問】

高校2年生女子で今、半年〜1年程の海外留学を考えていて、母も賛成してくれています。

まずは英語を現地で学びたくて、その後は海外の野生動物関係の仕事に就きたいと思っています。

海外留学するにあたって、将来の仕事に繋がる地域に行きたいのと、費用は極力抑えたいと思っています。

【回答】

将来に向けての希望がたくさんありますね。

「英語が出来るようになりたい。」

「海外で野生動物関係の仕事がしたい。」

素晴らしいことだと思いますが、かなり現実から乖離しています。

大切な人生の中でも一番大切な10代後半を無駄にしてしまわないよう、アドバイス致します。

カナダ在住、カナダにやって来る10代後半の日本の若者をずいぶん面倒見てきました。

現実から乖離していること：

１．半年や１年そこらの海外体験では英語力は変わりません。

海外で働くにはバイリンガルレベルの英語力が必須です。

そのレベルの英語能力を身につけるには、英語圏の高等教育機関（大学以上を指します）で少なくとも7〜8年以上必死で自分の専門分野を勉強する必要があります。

２．「留学」は英語で勉強することを意味します。「英語を勉強しに行く」ことは「留学」とは言いません。

高校２年生でしたら、海外の高校への留学を考えているのでしょうが、もともとの高い英語力がないと授業には高校の正式授業には入れません。

例えば16歳で留学するのでしたら、英語圏の16歳と同等の英語力、社会の常識、クリティカルシンキング力が必須です。

それがない場合は、外国人用の「英語コース」で何やらレベルの低いお遊びのような練習をするだけです。

完全なお金と時間の無駄です。

３．高校２年で留学したら、日本の高校卒業が遅れてしまい、しかも英語圏現地での高校卒業もほぼ不可能です。

希望している「半年〜１年」が無駄な寄り道になってしまいますよ。

例えば、高２でカナダの高校に来た場合、そこから卒業にこぎつけるまでには、うまくいって５年は覚悟しておいて下さい。

他の国でも大差ないと思います。

４．野生動物保護の仕事を希望する場合は、少なくとも大学の学位は必須ですので、今希望なさっている「高校での中途半端な海外体験」はかなりのマイナス要因となります。

野生動物保護の仕事に付きたい方についてのアドバイスはコラムにも公開していますので、読んで見て下さい。

５．残念ながら留学には高額な費用がかかります。

残酷なようですが、費用を抑えなければならない「留学」なら目的には到達しませんね。

留学以外にも様々な方法で英語を身につける方法は存在します。

その英語力が海外で仕事をするだけのレベルになるかどうかは、本人次第です。

現実を見据え、地に足をつけたプランを練り、時間もお金も、あなたの大切な人生も無駄にしない選択をして下さい。

Good Luck!

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