通販のマーケティング論 対談 第2回 - 販促・プロモーション戦略 - 専門家プロファイル

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閲覧数順 2024年04月24日更新

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通販のマーケティング論 対談 第2回

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年始及びAllAbout掲載記念として、数回に渡り、通販化粧品ブランド「エクスボーテ」をゼロから育てた北野氏との対談をお送りします。

「ゼロより売上65億を育て上げた北野氏(株式会社シーヴァ代表取締役社長)と語る[通販のマーケティング論]」



=「エクスボーテ」を通販コスメとして販売していた時代、通販卸での経常利益率が圧倒的に高かった=



北野「エクスボーテ時代、いろんなチャネル(販路)での展開をしていました。通販卸・店舗卸・自社通販(チラシ・会報誌・インターネット)自社店舗での販売と・・・。けれども、その中で一番利益率が高かったのが「通販卸」だったんですよ。確かに調べてみると、QVCやニッセン、ディノス、千趣会などに卸しをしているドクターシーラボやハーバー研究所などは、通販コスメ企業の中でも群を抜いて経常利益率が高いんですね」

赤坂「一方で、自社通販のみで展開している企業は、思う程利益率は高くない」

北野「そうですね。自社通販のみを展開している通販コスメ企業は、業績好調と言われるところでも、利益率が5〜7%程度しかない。エクスボーテは、通販卸に軸を置いていた時期は、経常利益が20%以上でした。しかし、自社通販(CRM)に注力した際は、一時経常利益率が7%程度まで激減したのも事実です」

北野「一方、バラエティショップやドラッグストア店舗への卸しも、利益率は決して悪くはありません。しかし、店舗卸の場合は、店舗側から販売員の配置を要請されたり、シーズンごとに新しい什器の設置を求められたりと、結構コストがかかるのも事実で、通販卸に比べると、利益率が下がってしまう。エクスボーテの場合は、さまざまな通販メディアに取り上げられた後で店舗卸をしたので、ある程度の知名度が既にあったことで助かりましたが、いきなり店舗卸から始めると、当初は売上以上のコストをかけなければダメなことの方が多いでしょうね」

北野「コストで言えば、自社で通販をいきなり始める場合はもっと大変です」

北野「新規顧客を獲得するための広告費(純広告・折込みチラシなどの紙広告から、テレビ・ラジオなどのマス広告、そしてインターネットを中心とするネット広告)やリピート施策のためのDM等の制作費、それに付随する媒体ごとの広告制作費、商品やDMなどの配送コストや梱包コスト、受注センターのオペレーターコスト、すべてがかかります。一方、通販卸を活用することで、通販企業への納品価格が販売価格の40〜50%以下*注)と想定しても、一括納品で手間とコストは最小限。かつ、大手であれば相当な部数(通販誌)が配布されるので相当なPR効果になるし、、テレビやラジオで取り上げられれば、不特定多数の消費者への宣伝にもなる。結果、さまざまな通販メディアを見た消費者の中にAIDMAが生まれたり、より多くの流通企業が動き出す可能性も出てきます」

*注)通販媒体へ卸す場合、大抵、販売価格の40〜50%の掛率が相場

北野「私の会社へ相談をされる会社には、自社通販で上手くいかずに相談を持ちかけてくるというケースが少なからずあります。そこで、既存の通販卸に取り組むべきすとアドバイスすることも多いのですが、なかなか分かってもらえないのが事実です。赤坂さんもご存知だと思いますが、通販企業に卸す場合、掛率が販売価格の45%程度が化粧品の相場です。しかし、自社通販であれば原価を抜いた販売価格すべてが利益になると考える。先ほどご説明したコスト発生の現実を全く理解せず。だから、卸に興味が持てないんですね」

赤坂「たしかに、卸しだと顧客リストは自社のデータにならない。自社通販に比べて掛率が低いという理由から敬遠される企業もあります。しかし、卸す際に掛率が合わないという声を耳にしたとき、逆にそれは通販商材として原価が高すぎるのではないかと思うのです。将来、自社通販を展開することを想定しておくと、40〜50%の原価では難しい。結果、このような原価では、自社通販の展開コストにより利益が圧迫され、先行投資額の回収期間が長くなり、利益を生み出すまでに時間がかかる。そして、投資回収期間が長くなれば、商品寿命や競合の出現などリスクが格段に高くなっていく。40〜50%の原価では、たとえ通販卸をしたいと考えても納入価格が合わず無理ですね」

北野「これまでの経験から考えると、通販商材の場合、原価率15%程度が妥当でしょう。そのパーセンテージで、販売価格の設定ができるか、そして、販売価格に見合う価値を消費者に与えられるかというバランスを徹底的に考える必要がある。それが無理ならば、少なくとも通販商材として展開すべきではありません」


次回に続く


北野泰良(きたの やすよし)


1965年 神戸生まれ。
早稲田大学 法学部卒業。
1989年リクルート事件渦中の株式会社リクルートへ入社、1995年同社を退社。
その後、当時従業員が6人だった販促企画会社(株式会社ジークス)に席を置き、一人で流通業を起こす。2001年“女優肌”のキャッチコピーで著名なメイクブランド「エクスボーテ」を立ち上げ、5年間で化粧品ビジネスを売上65億円に育てる。2007年、株式会社ジークス代表取締役を退任。
現在は、株式会社シーヴァ 代表取締役 数多くの化粧品プランニングを手掛ける。

著書『通販ビジネスはなぜ資金(おかね)がないほど成功するのか』(ぱる出版)『10年早く! 成功するためのシンプルな法則』(あさ出版)

株式会社シーヴァ
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(クリエイティブディレクター)
エーエムジェー株式会社 代表取締役

通販広告・店販広告を全面的にサポート

TV・ラジオにて累計2000回以上の通販番組を担当。通販において豊富な知識と実績を有する。通販や店販に欠かせない「薬事法」や「景品表示法」に深く精通しており、法律を守りながら広告として成立つ「シズル感のある広告表現」を得意としている。

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