2009年頭に寄せて/敗戦国から脱却するために - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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2009年頭に寄せて/敗戦国から脱却するために

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新年明けましておめでとうございます。

 昨年末はアメリカ発の不況が世界を駆け巡り、今年はおそらく世界恐慌まっただ中の年ということになりそうです。歴史的には第二次世界大戦が始まった状況に似ていると言われますが、戦争ができない時代にあってこうした恐慌をどう生き抜くのか、歴史が体験した事のない時代に入ったとも言えるでしょう。

 しかし、8年間に及んだブッシュ政権がやっと終わるのは、少なくともめでたい事です。私はブッシュ政権が誕生した瞬間から、アメリカという国に幻滅していましたが、早々に京都議定書から離脱し、単独行動主義を露骨に邁進し、9・11以降はもはや救い様のない国として私の目には映っていました。

 9・11は大統領の陰謀であるという説が当初から流れていましたが、考えてみれば、かつての太平洋戦争も当時のアメリカ大統領ルーズベルトの陰謀であった、ということが戦後50年後の情報公開によって読み取る事ができます。当時、日本の暗号電文は総てアメリカに解読されていたのですから、アメリカの手の内で事は動いていたのです。ルーズベルトは戦争に持ち込みたかったが、国内世論が戦争に反対だったから、兎に角、日本に戦争の口火を切ってもらい、一気に世論を戦争へと導きたかった。真珠湾攻撃はまさにそんな陰謀にはまったものでした。9・11も何かそんな陰謀が見え隠れしているのです。ブッシュの背後にはいつも石油メジャーの陰がちらついていました。

 アフガンへの侵攻は国内の世論を高めて一気に行なわれましたが、世論が冷静さを取り戻す前に行なわれたイラクへの侵攻は、根拠のない情報を元に先制攻撃を正当化するあからさまで強引なものでした。結局、CIAの偽情報であることが露呈しても、ブッシュはその任期を全うし、その間に失われた何万もの人命に対し何ら罪を問われないのです。それは例えば、広島、長崎への原爆投下、東京大空襲など、明らかに無差別大量殺戮であるにも関わらず、勝者は罪を負わない、という世界のルールによるものなのでしょうか?

 同様に、昨年末、ちょっと考えさせられたのは田母神元航空幕僚長の論文問題です。政治家達は村山談話、河野談話に反する、即ち、政府見解に反するとして糾弾し、識者達はこぞって歴史認識が間違っていると責め立てていますが、少なくともタブー視されてきた問題に光を当てた功績は評価すべきでしょう。

 第二次世界大戦後のドイツは、徹底的な反省の元に国を再建してきましたが、日本では、ただ勝者の裁きを受け入れ、勝者の庇護の元に国を再建してきました。その間、あの戦争が何だったのか、検証することを避けてきたのです。私達が中学、高校で学んだ歴史の教科書にも、一番学ぶべき直近の歴史は僅かに触れられているだけで、昭和史に入る前に授業は意図的に終えられていたのです。何故なら、太平洋戦争を検証しようとすれば、天皇の責任問題を避けて通ることができないからです。ですから、昭和史はタブーなのです。

 しかし、戦後60年、そろそろ自分達の歴史をきちんと検証しても良いのではないかと思います。その内容に異論はあるにしろ「自虐史観を植え付けられて国を守れるか」という田母神氏の思いは理解できるものです。私がかつて暮らし、学んでいたイタリアには兵役の義務があり、高校卒業後その義務に服さねばならないのですが、大学へ進学するとその間、猶予されるので大学への進学率が高いのだと聞いた事があります。しかし、少なくともイタリアの青年は皆、軍隊で訓練を受けサバイバル術を身に付けて再び社会復帰してくるのです。お隣の韓国も同様ですが、こうして一度は軍隊で厳しい体験をしてくる彼らを見ていると、平和ぼけ日本はなんておめでたい国なのだろう、とつくづく思ったものです。「戦争放棄」を唱えて、自ら国を守ることをせず、アメリカの核の傘の下でぬくぬくと経済大国になった日本、ブッシュの戦争に異を唱える事もできないばかりか、お金まで出して応援してしまった日本、いつまで敗戦国として生きるつもりなのでしょうか?

 しかし、今こそ未曾有の経済恐慌というピンチを、チャンスに替える時です。そのためには「脱石油」社会への転換を図らなければなりません。もうすでに自然エネルギーだけで100%自給できる道が見えているのです。自然エネルギーとは、例えば、太陽光、風力、水力、潮力、地熱などですが、それらを複合して日本国内で消費される電力の総てを自給する事ができる技術がすでに準備されているのです。自然エネルギーへの転換を政策として今、一気に進めれば、産業構造は変化し、新たなビジネス、新たな雇用が促進され、勿論、脱炭素社会の実現は地球温暖化に歯止めをかけることになります。そして、エネルギーの自給によりこれまで世界の紛争のタネであった石油の問題から開放されるということは、どの国にとっても究極の安全保障へと繋がることになり、もはやアメリカのご機嫌を伺いながら生きる必然性はなくなるのではないかと思うのですが。

 年のはじめにちょっと固い話しをしてしまいました。
 今年も営業トークなど考えず、思ったことをズバズバ言わせて頂こうと思っておりますので、皆さん、覚悟していて下さいね(笑)