英語圏の高校で勉強するのに一番必要な能力ー正確な文法運用能力

英語を使う国で勉強する場合に、一番大切な能力は正確に文法を使えることです。

これを余りにもないがしろにし、デタラメ文法のままでもがく日本人生徒を多く見てきました。

海外に渡ってから、中学文法の総復習するのは、まず時間的に不可能です。

「留学」を志す人は、必ず文法基礎が確実にあることが絶対必要条件。

特に親の仕事で同行する人は、文法が弱い場合、相当の苦労が待っていることをよく知っておいて下さい。

そして、出来るだけの対策を渡航前に取ることを強くお勧めします。

まるで海外旅行の準備でもするような質問に出会いました。

【質問】

親の仕事の都合で夏からアメリカに住むことになりました。春から高校生になりますが、行くまでにアメリカに行っても困らない程度の英語力を身に付けたいです。　何をすればいいのかまったく分かりません。やはり、一番大事なのはリスニングですか？した方がいいことなど教えてほしいです。

【回答】

英語圏の高校で正式な授業の履修を許可され、現地の同級生と同じレベルの勉強が出来るようになるには、相当の年数と正しい準備学習が必須です。

そして、当たり前のことですが、４ヶ月程度で、「アメリカに行っても困らない程度の英語力」をつける方法はありません。

カナダで30年近くに渡り、日本から来る優秀な若者の支援をしている経験からお答えします。

また、親の仕事に同行し、高校に在籍している日本人の学習サポートも行っていますので、現地から実際に起こっていることを含めてのアドバイスです。

１．中学３年間の基本文法をすべて総復習し、完全に理解しておくこと

正しい文法を使えない場合は、９月の新学期に10年生に入ることはまず無理です。

最初にプレースメントテストのような能力テストがあり、それに従い、外国人用のESL（英語訓練）クラスに入るのが普通です。　（もし9月現在アメリカの15歳と同等レベルの英語運用能力があれば別ですが、ま、そんなケースは２％ほどです）

ESLの間に、基本文法の大きな欠如（複数・単数の区別、主語と動詞の一致、動詞の時制など）がある場合は、なかなか上のクラスには上がれません。

つまり、いつまで経っても卒業に向けての単位が取れません。

従って、親が帰国する際に日本の高校に編入しようとしても、受け入れてもらえる単位がほとんどないことになり、日本で１から高校のやり直しになります。

もし、アメリカに留まるとしても、高校卒業までに長い年数がかかる可能性があります。

２．理解している文法を、実際に自分の考えを表すエッセイで使える準備をすること

日本の学校の英語テストの様に、文を書き換えたり、暗記したフレーズをカッコに入れたりなどのスキルは何の役にも立ちません。

ひとつひとつの文法の意味をよく理解し、適切な文法を使い、自分の考えを客観的にエッセイにする能力は、アメリカの学校では必須です。

アメリカの生徒たちは、小学校・中学校を通じてエッセイの書き方を習って来ていますし、クリティカル・シンキング思考法を使い客観的・具体的に自分の考えをまとめることに長けています。

その仲間入りをするには、その能力に追いつくための準備が絶対に必要です。

エッセイが書けないと前述のESLからも抜け出せません。

３．理解した文法を正確に使い、正しいエッセイの形式で書く英語の中身は、自分の考えです。

日本語と英語で本を出来るだけ多く読み、自分のこれまでに経験したことと、本に表されていることを結びつけて分析出来るようにしておくこと。

そうでないと、エッセイを書く中身がないので、立ち往生してしまいます。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

上記３つがこの４ヶ月で訓練しておくべきことです。

海外旅行に行く準備ではないですからね。

お店で会話が出来るとか、人の話が聞き取れるとかは、学校の正式授業レベルになれば普通に出来ることですから、敢えて今時間を使う必要はないです。

カナダ・アメリカどちらの高校でも、「日本の中学レベルの基本文法の欠如」「エッセイの書き方への無知」「クリティカル・シンキング思考法を使い自分の考えをまとめる」ことが出来ない場合は、非常に苦しい経験になるか、或いは途中脱落を余儀なくされるか、中卒のまま帰国するか、卒業までに５年以上かかるかという結果に陥る可能性が高いことをよく認識し、あとで後悔しないよう準備をして下さい。

Good luck!