(1)給与以外の所得がある場合
給与以外にも所得がある場合は詳細を確認しましょう。
例えば、海外赴任中に自宅を賃貸して得た家賃収入や日本国内にある自宅などの不動産の売却収入は、課税対象です(国内源泉所得)。
この場合、出国前に納税管理人を決めて届け出ておきましょう。
年の中途で海外勤務となった年分は、その年1月1日から出国する日までの間に生じた全ての所得と、出国した日の翌日からその年12月31日までの間に生じた国内源泉所得を合計して確定申告をします。
出国前に納税管理人を定めている場合は、納税管理人が翌年2月16日から3月15日までに本人に代わって確定申告を行います。
ちなみに、納税管理人とは、日本にいない納税者の代理で、確定申告や納税にかかる手続きを行います。
(2)赴任中に退職金をもらった場合
海外勤務中に退職金の支払いを受けた場合、原則として退職金を居住者期間分と非居住者期間分とに区分し、居住者期間分を国内源泉所得として20.42%源泉徴収されます。
しかし、仮に全期間を居住者として退職金を受け取った場合と、またまた退職直前に非居住者として退職金を受け取った場合を比較すると税額に大きな差が生じることがあります。
このような場合に備えて、その退職金を全額居住者として受け取った場合の税額が、国内源泉所得のみについて非居住者課税を受けた場合の税額よりも少額である場合は、その差額を還付する制度があります。
国内勤務期間が長い赴任者が海外赴任中に退職するような場合には、居住者として退職金を受ける場合に比して、その支払い時の税負担が重くなる傾向がありますので、還付が受けられるかどうか検討しましょう。
この手続きとしましては、退職金の支払いを受けた年の翌年1月1日以後に、所轄の税務署に還付を受けるための確定申告書を提出する必要があります。
もし、退職後も引き続き、海外に居住している場合は、納税管理人を定めて、確定申告を行う必要があります。
(3)納税管理人の選任方法
納税管理人を定めたときには、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に「所得税の納税管理人の届出書」を提出する必要があります。
この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は、納税管理人あてに送付されますが、確定申告書は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して提出します。
なお、納税管理人は法人でも個人でも構いません。
詳細は勤務先の担当者に確認や、管轄の税務署に問い合わせましょう。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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