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日経記事;『トヨタ、19年にも中国でEV量産 環境規制対応』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

7月22日付の日経新聞(日経電子版)に、『トヨタ、19年にも中国でEV量産 環境規制対応』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『トヨタ自動車は2019年にも中国で電気自動車(EV)を量産する検討を始めた。中国政府はEVなどの走行時の環境負荷が低い車を「新エネルギー車」と定義し、18年以降に自動車メーカーに一定規模の生産を義務付ける方針を示している。

基幹部品である電池の現地生産も検討し、世界最大市場のエコカー規制に対応する。

トヨタは12年に米テスラのリチウムイオン2次電池を搭載した多目的スポーツ車(SUV)「RAV4 EV」を発売したが、販売は2500台にとどまり、生産を打ち切っている。EVの本格的な量産が明らかになったのは初めて。

中国で量産する台数などは未定だが、中国市場で人気のSUVでのEV投入を検討している。小型車よりも電池やモーターなどを載せやすく、製品化が早いメリットもある。

トヨタは長期的には燃料電池車(FCV)を環境車の主力と位置づけるが、水素の補給インフラの整備には時間がかかる。米国や中国などで厳しくなる環境規制に対応するため、20年までの投入をめざしてEVの開発を急いでいた。

16年末にはデンソーや豊田自動織機、アイシン精機といったグループ企業が参画するEV開発の社内ベンチャーを立ち上げた。

中国はこれまで補助金の支給によってエコカーの販売を促してきた。だが今後は自動車メーカーの総販売台数に応じて、一定のEVやFCV、プラグインハイブリッド車(PHV)の販売を義務付ける方針を出している。

EVは中国市場全体の2%程度にとどまっているが、厳しい環境規制によって、自動車メーカー各社はEVやPHVなどの投入の対応を迫られている。』
 

トヨタ自動車の次世代環境対応車の本命は、燃料電池車(FCV)と想定して今まで巨額投資を行って開発・実用化を行っています。

しかし、燃料電池車に実用化には、車体価格の低減と、水素ステーションの設置が必要になります。

水素ステーションの設置コストは、高額なため、この事業を行う企業は、FCVの普及を見据えてから、実行することが合理的です。

一方、FCVは水素ステーションの設置数が十分でないと、普及しません。FCVの普及と水素ステーションの設置数増加は、「鶏が先か卵が先か」の議論と同じです。

トヨタは、FCVが普及するまで、HVやPHVの販売台数を増やして、環境規制に対応する施策を取ってきました。

トヨタは、この施策を急遽変更せざるを得ない事業環境が昨年から起こりました。

一つ目は、米国のカリフォルニア州やニューヨーク州などの環境先進州が、HVをZEV規制に合致しない方針を明確化したことです。理由は、HVはガソリンエンジン車であることによります。

二つ目は、ドイツのフォルクスワーゲン社などの自動車メーカーが、ディーゼルエンジンのソフトウェアを不正に操作して、実際より環境負荷が軽くなるように見せていたことです。

この事態発生後、すべてのドイツ自動車メーカーは、ディーゼルエンジン車の開発を終了して、EVの開発・実用化に傾注すると方針転換を行いました。

三つ目は、世界最大の自動車市場をもつ中国が、環境負荷軽減のため、EVの開発・実用化を後押しして一気に普及させる施策を打ち出したことです。

中国政府はEVなど走行時の環境負荷が低い車を「新エネルギー車」と定義し、2018年以降、一定規模の生産を義務付ける方針です。

「新エネルギー車」として認定されるには、政府から認定を受けた中国現地のメーカーの電池を搭載することが条件となるようです。

中国政府は、世界最大の自動車市場であることテコにして、一気にEVの先進国となる思惑をもっていることは、確実です。

EVの心臓部の部品の一つが、電池になります。中国政府が、「新エネルギー車」と認定することの条件として、中国メーカーの電池搭載が、条件になっています。

多くの海外メーカーは、中国内の電池を使用することになるので、常識的には中国の電池の開発・実用化・製造は一気に加速します。

今までEVの普及を妨げてきたのは、電池性能が限定されていることです。セダンタイプの自動車で、1回の充電でガソリンエンジン車並みの走行距離を実現できないことが、大きなネックになっていました。

しかし、米EVベンダーのテスラモーターズや、欧州、中国の自動車メーカーが、電池メーカーとタイアップして、一気にEVの開発・実用化を加速化させれば、電池性能も向上する可能性が高くなります。

トヨタは、このようなEV事業環境の急変に早急に対応していかないと、市場・顧客を失う可能性が高くなります。

私は、すでにトヨタはEVの開発・実用化の目処を付けていると考えます。トヨタが最近市場に投入したPHVタイプのプリウスにEVの片鱗が見られることによります。

自動車業界にとっては、もう一つの大きな動きが自動運転車の開発・実用化です。米大手ITベンダーのグーグルが、自動運転機能付EVの開発・実用化を加速させています。

他の自動車メーカーも、自動運転車の開発・実用化を加速させています。そのほとんどがEVになっています。

一般的にEVの開発・実用化は、ガソリンエンジン車に比べて、難易度が低くなりますので、グーグルのように既存自動車メーカーでない企業も、EVの開発・実用化競争に参入することになります。

トヨタは、FCV、EV、自動運転機能の三つの大きな開発・実用化を加速させ、実現することが必要になります。

私は、トヨタはFCVの開発・実用化より、EVと自動運転機能の開発・実用化を先行させるとみています。

トヨタの今後の動きに注目していきます。この事業環境急変の荒波を、トヨタがどのように対応していくのか、オープンイノベーションの積極的な採用を行うと仮定していることも含めて、今後の動きに大きな関心をもっています。

トヨタの動き方は、中小企業がますます世界市場で激化する競争への対応策を計画・実行するうえで参考になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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